オペラ公演関連ニュース

2022/2023シーズンオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』出演者変更のお知らせ


本年11月15日開幕予定のオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』は、ロシアによるウクライナ侵攻が続いている状況から、ロシア人歌手の招聘手続きにおける影響を考慮した結果、確実に新制作公演の準備を進めるため、残念ながらエフゲニー・ニキティン、マクシム・パステル、アレクセイ・ティホミーロフ、パーヴェル・コルガーティンの出演を断念することと致しました。このため下記の通り出演者を変更して上演致します。



ボリス・ゴドゥノフ:エフゲニー・ニキティン    → ギド・イェンティンス

ヴァシリー・シュイスキー公:マクシム・パステル   → アーノルド・ベズイエン

ピーメン:アレクセイ・ティホミーロフ       → ゴデルジ・ジャネリーゼ

聖愚者の声:パーヴェル・コルガーティン      → 清水徹太郎





<芸術監督からのメッセージ>

皆様に、2022/2023シーズンの『ボリス・ゴドゥノフ』上演につきまして、キャストの変更をお伝えいたします。

当初、ボリス役にはエフゲニー・ニキティン氏、シュイスキー公にはマクシム・パステル氏、ピーメン役にはアレクセイ・ティホミーロフ氏、聖愚者にはパーヴェル・コルガーティン氏を予定しておりましたが、現在のロシアとウクライナを取り巻く情勢に関連して、公演のリハーサル開始までのビザ取得手続き上の問題が明確になりました。

状況の急激な変化がなかなか見通せない中、新国立劇場は、新制作の『ボリス・ゴドゥノフ』公演の中止をなんとしても回避するために、以上4役の歌手の代わりに、ボリス役 ギド・イェンティンス氏、シュイスキー役 アーノルド・ベズイエン氏、ピーメン役 ゴデルジ・ジャネリーゼ氏、聖愚者役 清水徹太郎氏に急遽依頼をし、それぞれ快諾を得、演出家マリウシュ・トレリンスキ氏ともこの状況を確認した上で、私たちは改めて公演を予定通りに執り行うことを決定いたしました。

イェンティンス氏は、昨年11月の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』公演でポーグナー役を歌ったことは皆様のご記憶にも新しいと思いますが、彼のワーグナーを中心とする膨大のレパートリーの中には、幸いなことにマンハイム劇場などで歌った『ボリス・ゴドゥノフ』のタイトルロールも含まれており、今回の緊急な要請にもかかわらず、いつものゆったりした態度で微笑みながら「日本の聴衆の皆さんに、自分の異なる顔もぜひお見せしたい」と快く引き受けてくれました。シュイスキー公役には、オランダ人名歌手で、シュイスキー公歌いとしても定評のあるアーノルド・ベズイエン氏。ピーメン役のジャネリーゼ氏は深いバスの声の持ち主で、近年急速に名をあげてきた若手歌手で、修道僧ピーメンの哲学的思索を立派に表現してくれるでしょう。また、聖愚者役の清水さんは、演出の関係で舞台には登場せず、天から響く声として実力を発揮していただきます。

どうか、この新しいキャストによる新制作『ボリス・ゴドゥノフ』公演にご期待いただきますよう、皆様を新国立劇場でお待ちしております。

新国立劇場オペラ芸術監督

大野和士





ギド・イェンティンス (Guido JENTJENS)

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ケルン音楽大学で学び、デュッセルドルフ歌劇場のオペラスタジオにて歌手活動を始める。2005年から13年までニュルンベルク州立劇場専属歌手の一員となる。専属歌手及びゲストとしてアウクスブルク、エアフルト、カールスルーエ、ヴィースバーデンの各劇場に出演。レパートリーは『ローエングリン』ハインリヒ、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ポーグナー及びハンス・ザックスをはじめ多数。『青ひげ公の城』青ひげ、『神々の黄昏』ハーゲンのロールデビューは高く評価された。オペラやコンサートでのゲスト出演として世界中で公演。2013年、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の新制作でザルツブルク音楽祭へデビューを飾って以降、多くの名高い音楽祭にたびたび招かれる。新国立劇場では、2010/2011シーズン『トリスタンとイゾルデ』マルケ王、2021/2022シーズン『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ファイト・ポーグナーに出演した。


アーノルド・ベズイエン (Arnold BEZUYEN)

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オランダのテノール。アムステルダム大学、アムステルダム・オペラスタジオで学んだ後、アウグスブルク歌劇場、ブレーメン歌劇場、ウィーン国立歌劇場と契約、『蝶々夫人』ピンカートン、『ナブッコ』イズマエーレ、『オテロ』カッシオ、『椿姫』アルフレードなどに出演。特に『ニーベルングの指環』ミーメ、『サロメ』ヘロデで成功を収め、重要なレパートリーとなる。98年にはバイロイト音楽祭にミーメ役でデビューし、同音楽祭へはその後15年間出演を続ける。2020年、22年にはバイロイト音楽祭に『ラインの黄金』『ジークフリート』ミーメで出演。ほかに、オランダ国立オペラ、バルセロナ・リセウ大劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、英国ロイヤルオペラ、メトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座、ナポリ・サンカルロ歌劇場、ウィーン国立歌劇場など世界の主要劇場に『ばらの騎士』テノール歌手、『フィデリオ』フロレスタン、『ボリス・ゴドゥノフ』シュイスキー、『アラベッラ』マッテオ、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ダーヴィット、『ラインの黄金』ローゲ、『ラインの黄金』『ジークフリート』ミーメなどで出演している。新国立劇場初登場。


ゴデルジ・ジャネリーゼ (Goderdzi JANELIDZE)

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ジョージア出身のバス。バトゥミ・パリアシュヴィリ音楽院、バトゥミ・オペラスタジオ、トビリシ国立音楽院で学んだ後、ボリショイ劇場ヤングアーティスト・プログラムに参加。2017年エレーナ・オブラスツォワ国際コンクール優勝。18年フョードル・シャリアピン国際コンクール優勝及び聴衆賞受賞。同年リムスキー・コルサコフ国際コンクール優勝。ボリショイ劇場専属歌手として『ドン・カルロ』修道士、『ラ・ボエーム』コッリーネ、『ファウストの劫罰』ブランデルなどに出演した後、欧米各地の主要劇場へ活躍を拡げ、2021/2022シーズンには、『リゴレット』スパラフチーレでパリ・オペラ座に、また英国ロイヤルオペラに『サムソンとデリラ』ヘブライの長老でデビュー。最近の出演に、バルセロナ・リセウ大劇場『ラ・ボエーム』コッリーネ、ウェックスフォード音楽祭『ドン・キショット』タイトルロール、テアトロ・レアル『仮面舞踏会』トム、ブレゲンツ音楽祭、カナディアン・オペラ・カンパニー、コロン歌劇場『リゴレット』スパラフチーレ、ヴァンクーバー・オペラ『エウゲニ・オネーギン』グレーミン公爵、ボリショイ劇場『イーゴリ公』コンチャークなどがある。新国立劇場初登場。


清水徹太郎 (SHIMIZU Tetsutaro)

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京都市立芸術大学卒業、同大学院修了。第33回飯塚音楽コンクール第1位、第82回日本音楽コンクール入選他多数上位入賞。文部科学大臣賞、平成29年度坂井時忠音楽賞、平成30年兵庫県芸術奨励賞他多数受賞。「第九」「天地創造」「千人の交響曲」「メサイア」「マタイ受難曲」等多数のソリストを務める。『カルメン』『ボエーム』『魔笛』『夕鶴』『オテロ』『サロメ』『ラインの黄金』等出演多数。京都市立芸術大学、大阪音楽大学、滋賀大学各講師。びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー、<びわ湖ホール四大テノール>メンバー。新国立劇場では、21年の『カルメン』高校生のためのオペラ鑑賞教室公演、びわ湖ホール公演でドン・ホセ役に出演している。