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2021/2022シーズンオペラ開幕公演『チェネレントラ』が初日を迎えました

本日、新国立劇場では2021/2022シーズン開幕を迎え、文化庁芸術祭オープニング・オペラ公演『チェネレントラ』が大盛況の初日を迎えました。

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『チェネレントラ』より



『チェネレントラ』はロッシーニに作曲のオペラ版『シンデレラ』で、ロッシーニならではの超絶技巧やクレッシェンド、小気味よいアンサンブルが存分に楽しめる傑作喜劇です。

演出に当たった粟國淳と美術・衣裳のアレッサンドロ・チャンマルーギが練り上げた演出は、映画をテーマにしたもの。序曲のうちに観客を一気に黄金期の映画撮影所の世界へ誘い込み、次々に展開するカラフルな舞台で観客をワクワクさせ続けます。

タイトルロールのアンジェリーナ(チェネレントラ)の脇園彩はこれまで年1回のペースで新国立劇場に登場し、今回が満を持して得意役アンジェリーナの披露。粋を極めたテクニックと等身大の表現で観客を魅了しました。王子ドン・ラミーロには、脇園との息もぴったりのベルカント・テノールのルネ・バルベラが軽々と伸びやかな声を聴かせ、アリアの後では拍手が鳴りやまないほど。チェネレントラの継父ドン・ラミーロにはイタリアの伝説的なスター、アレッサンドロ・コルベッリが出演、登場するたびに観客から「待ってました」と大きな拍手を受けていました。シンデレラを導くアリドーロは粟國版ではフェデリコ・フェリーニ似の巨匠映画監督の設定で、ガブリエーレ・サゴーナが朗々たる声と多彩な表現で『チェネレントラ』のストーリー全体を切り回します。王子の影武者となる従者ダンディーニには上江隼人が出演、パワフルなアジリタとコミカルな演技で笑いを誘いました。クロリンダとティーズベの姉妹には高橋薫子、齊藤純子と実力派が贅沢にも出演し、圧巻の歌唱と演技で魅了しました。芸達者な歌手たちの至芸を引き出し、引き締めながらテンポよく進めた指揮者の城谷正博にも、大きな拍手が贈られました。

新国立劇場合唱団は男声20人の小編成ながら、コミカルできびきびとした演技と張りのある演奏で存在感を示し、オーケストラの東京フィルハーモニー交響楽団からは、ロッシーニならではの軽快な音楽、洒脱なソロパートが響き、劇場全体を楽しい空気で包みました。また、助演俳優たちも全編に渡って活躍し、往年の映画撮影所の楽しくスター願望に満ちた空気を創り出しました。
アリアやアンサンブルの後には大きな拍手が沸き、カーテンコールも大いに沸きました。長い緊急事態宣言の解除と共に迎えたシーズンオープニングの夜であり、劇場は文字通り喜びに満ちていました。

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『チェネレントラ』第1幕より
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『チェネレントラ』第2幕より


『チェネレントラ』は10月13日(水)まで公演が続きます。華やかで希望にあふれ、オペラの楽しさ、音楽の力を教えてくれるチャーミングな舞台をどうぞお楽しみください。