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オペラ『アルマゲドンの夢』リハーサルが始まりました


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本日、オペラ『アルマゲドンの夢』立稽古が始まりました。

『アルマゲドンの夢』は当初発表通りのスタッフ・キャストで上演致します。この新作オペラの世界初演の実現に向けて、海外からの出演者・スタッフは来日を早め、入国後の待機期間を終えたアーティストからリハーサルに参加することとなりました。演出家のリディア・シュタイアーは既に14日間の待機を終え、当初予定通りに本日から立稽古を開始しました。

立稽古初日の今日は、作品の要となる合唱のリハーサルを行いました。リハーサル冒頭では、新国立劇場合唱団を前にリディア・シュタイアーが藤倉大作曲『アルマゲドンの夢』の自身の作品観を説明しました。

「『アルマゲドンの夢』の主人公クーパーという男性は、非常に恐ろしいビジョン(幻覚)を見続けています。それが現実なのかただの悪夢なのかわからない。冒頭は、電車の中で、彼が見続けているビジョンについて居合わせた他の乗客に説明するシーンから始まります。この電車が消えると、観客は彼が見ている幻覚を目にすることになります。彼が見ている悪夢は、独裁者の登場によって更に悪夢になるのです。この独裁者は自由主義の正反対で、非寛容で、ダイバーシティーのようなものは一切認めない独裁者です。こんな夢は現在か、あるいは遠い未来に起こり得るものですが、見方を変えると、現実世界で起こりつつあることのようにも思えます。このディストピア的、SF的な部分は、遠い未来のものであるはずなのですが、その息苦しさは今、こうしてマスクを付けている私達が感じるような恐怖と繋がっていると思います。


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リディア・シュタイアー(演出)

この作品における合唱のキャラクターについて説明します。最初の方では、買い物をしたり踊ったり子供と遊んだり、普通の生活をしている、ごく普通の人々です。しかし後の時点では、洗脳されてしまっていて、極端な考えに染まった集団です。パーティーのシーンでは、ごく普通の人達がいかにして、極右思想に染まっていくかが見て取れると思います。皆さんは当然、人間であってロボットではありません。しかし、こうした極端な思想を持つファシストによって洗脳され、軍国主義的なロボットのようになってしまうことになります。ロボットでなく人間なのですが...。」

合唱の効果的な演出に定評のあるリディア・シュタイアーですが、今日のリハーサルで一挙に緊張も解け、既に音楽稽古を重ねてきた新国立劇場合唱団メンバーの表現にも、十分な手応えを感じた様子でリハーサル初日を締めくくりました。


この後、招聘キャスト(ピーター・タンジッツ、セス・カリコ、ジェシカ・アゾーディ)、そしてバルバラ・エーネス(美術)、ウルズラ・クドルナ(衣裳)らのクリエイティブスタッフも、順次リハーサルに合流し、公演準備を行っていく予定です。

今期最大の話題作として内外からの注目が集まる『アルマゲドンの夢』、11月15日の世界初演をどうぞ楽しみにお待ちください。


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新国立劇場合唱団
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演出をつけるリディア・シュタイアー


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音楽チーフ・城谷正博、リディア・シュタイアー
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新国立劇場合唱団


オペラ『アルマゲドンの夢』公演情報
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/armageddon/

『アルマゲドンの夢』作曲・藤倉大からのメッセージ(動画)
https://youtu.be/DYpQl__g4Mg

『アルマゲドンの夢』藤倉大×大野和士対談(動画)

https://youtu.be/TTr-0HFa1o4