オペラ公演関連ニュース
オペラ「沈黙」関連展示を行います(6/9更新)
オペラ、バレエ、ダンス、演劇といった現代舞台芸術の普及を目指す新国立劇場(東京都渋谷区)では、現代舞台芸術の上演に関連し、作品の理解を深めるための取り組みに注力しています。このたびオペラ『沈黙』の上演にあわせ、『沈黙』を生んだ長崎のキリスト教文化を紹介する展示を開催いたします。
本展示においては、長崎県、長崎市の有する豊富な資料のご提供を受け、遠藤周作文学館所蔵の『沈黙』関連資料、外海歴史民俗資料館所蔵の<踏絵>を含む貴重な史料を展示いたします。あわせて、世界遺産暫定一覧表に記載されており、2016年に世界文化遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を紹介する資料によって、長崎のキリスト教文化を地理的、歴史的に理解できる大規模な展示となります。
新国立劇場オペラ公演『沈黙』関連展示
『沈黙』と長崎のキリスト教文化
会期:2015年6月27日(土)~2015年6月30日(火)
(『沈黙』公演開場中のみ)
会場:新国立劇場オペラパレスホワイエ
主催:新国立劇場
協力:長崎県 長崎市
長崎市遠藤周作文学館 長崎市外海歴史民俗資料館
※本展示は、オペラ『沈黙』開場時間中のみの公開のため、公演チケット及び下記講座チケットをお持ちの方のみご覧いただけます。
オペラ『沈黙』について

遠藤周作の代表作『沈黙』は『イエスの生涯』『深い河』などと並び、キリスト教文学の金字塔と言われています。主な舞台はキリスト教禁止令が発布されたキリシタン迫害時代の長崎・外海地区。神の沈黙を通して、遠藤周作の考えるキリスト教の本質が問いかけられる不朽の名作です。オペラ『沈黙』は、この小説をもとに、20世紀を代表する邦人作曲家である松村禎三が、13年という歳月をかけて台本・作曲を手掛け、完成させた大作です。1993年に世界初演、新しいオペラの傑作の誕生と大きな話題を呼び、その後も新国立劇場などで上演を繰り返してきました。今回の上演では、2012年に新国立劇場演劇芸術監督の宮田慶子のオペラ初演出として話題を呼んだ緊張感あふれるプロダクションをオペラパレスで上演、前回も好評を博した下野竜也の指揮、日本を代表する歌手陣を揃え、さらに磨きをかけた公演をお届けします。
長崎の教会群とキリスト教関連遺産

長崎におけるキリスト教の伝来と繁栄、激しい弾圧と250年もの潜伏、そして奇跡の復活という世界に類を見ない独自の歴史を物語る貴重な遺産です。キリスト教の繁栄や弾圧を伝える城跡や、世界宗教史上の奇跡と呼ばれる「信徒発見」の舞台ともなった「大浦天主堂」をはじめ、弾圧に屈せず密かに信仰を守り続けた場所に建つ教会建築や集落などで構成されています。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、2007年、ユネスコの世界遺産暫定一覧表に記載されており、長崎県と長崎市を含む関係市町では、2016年の世界文化遺産登録に向けて取組を行っています。
日本の世界遺産登録を目指す動きとしては、本年6月28日から7月8日の世界遺産委員会で世界遺産一覧への記載の可否が決定される「明治日本の産業革命遺産」に続くものとなります。
長崎市遠藤周作文学館とは

五島灘に面する長崎市外海地区に遠藤周作没後の2000年に開館した文学館。『沈黙』は外海をモデルの一つとするトモギ村を舞台に書かれました。遠藤周作は、キリシタンの里である外海を愛し、たびたび外海を訪れ、長崎を「心の故郷」と呼んでいました。遠藤周作の遺品、生原稿、膨大な蔵書などを収蔵し、遠藤文学に関わる資料収集、保存、展示及び閲覧、調査研究、情報発信の諸機能を備えています。
長崎市外海歴史民俗資料館

外海地区の歴史を数多くの史料を交え紹介する資料館。古代人の暮らしぶりから農村、漁村の生活用具、池島炭鉱の資料などを展示し、なかでもキリスト教の迫害と信仰の歴史を伝える隠れキリシタンに関する資料が数多く収蔵されています。外洋に面し、起伏に富んだ丘陵に囲まれた狭隘な土地柄の外海地区には、禁教時代多くのキリシタンが隠れ住み、迫害を逃れ五島へと渡りました。資料館前には「沈黙の碑」があり、「人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです」と刻まれています。
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オペラ「沈黙」関連展示を行います(6/9更新)