マンスリー・プロジェクト情報


[トークセッション]
「戯曲翻訳の現在」を4人の翻訳家と芸術監督がトーク

『ヘッダ・ガーブレル』『やけたトタン屋根の上の猫』『わが町』『ゴドーを待ちながら』と、それぞれ先人のすぐれた翻訳があり、多くの舞台が上演されてきたが、翻訳した時代を考えるとなかには数十年も前の翻訳もあり、今日の舞台で語る台詞としては通用しない言葉も出てくる。もちろん海外と日本の文化・習慣などが異なっているので、単に言葉を日本語に置き換えてすむ問題でもなく、翻訳劇が抱える問題は大きい。

そこで、12月のマンスリー・プロジェクトは、今回の4作品の新翻訳に取り組んだ翻訳者が一同に介し、芸術監督であり演出家の宮田慶子もまじえ、「翻訳戯曲の現在」について語り合っていただく趣向だ。特に今回の新訳は、上演を前提に、演出家の演出意図もくんで、両者の話し合いが翻訳作業のなかでなされている。すでに観た舞台、あるいはこれから観る舞台も、そうした過程を知るとさらに興味が増すのではないだろうか。


トークセッション「戯曲翻訳の現在」
12月18日(土) 2:00 オペラパレス ホワイエ


第4弾の、トークセッション「戯曲翻訳の現在」が、宮田慶子芸術監督就任1年目のシーズンの中心企画「JAPAN MEETS…−現代劇の系譜をひもとく−」で取り上げた翻訳劇4作品の新訳に取り組んだ翻訳家のみなさまと宮田監督が参加し、12月18日(土)に新国立劇場オペラパレスホワイエにて開催されました。

9月・10月に上演された『ヘッダ・ガーブレル』翻訳の長島確さん、11月に上演された『やけたトタン屋根の上の猫』翻訳の常田景子さん、来年1月上演の『わが町』翻訳の水谷八也さん、4月上演の『ゴドーを待ちながら』翻訳の岩切正一郎さんが、それぞれ翻訳劇の魅力や翻訳秘話を話し、宮田監督との熱気あるトークセッションを繰り広げました。

お客様からは、「戯曲翻訳のあり方について大変参考になった。これからの観劇のあり方が変わると思う」、「翻訳という切り口から掘り下げて、演劇論が展開されて印象深く聞きました」、「戯曲の翻訳家の話しをうかがうことはめったにない機会なのでうれしかった」などの感想をいただきました。

(左から)宮田芸術監督、長島確氏、常田景子氏、水谷八也氏、岩切正一郎氏


早川書房『悲劇喜劇』に、「ヘッダ・ガーブレル」から「わが町」までの3作品の新訳戯曲が、掲載されています。

「ヘッダ・ガーブレル」 『悲劇喜劇』2010年9月号掲載
作:ヘンリック・イプセン
翻訳:アンネ・ランデ・ペータス/長島 確

「やけたトタン屋根の上の猫」 『悲劇喜劇』2010年12月号掲載
作:テネシー・ウィリアムズ
翻訳:常田景子

「わが町」 『悲劇喜劇』2011年1月号掲載
作:ソーントン・ワイルダー
翻訳:水谷 八也