文化や芸術とは、人の目に触れることで初めて価値を発揮します。
それは同時代に生きる人々の間だけでなく、時代を超えた関係でも同様です。
初台アート・ロフトでは、膨大な舞台芸術品を保存し、後世につなげるアーカイブ活動も行われています。
舞台上での役目を終えた衣裳を適切に保管し、展示し、現代の美術品として引き継いでいく。
そうすることで、文化はより豊かに醸成されていく。
今回はそのアーカイブ作業の様子をご紹介します。
■衣裳保存の行程
①真空パックで保管
長い本番を終え、衣裳たちが続々とバックヤードに戻ってきます。
まずは真空パックの中で一休み。
薬品は使わず、無酸素状態にすることでカビや菌の繁殖を防ぎます。
傷み具合もそれぞれです。
丹念に見て、修繕が必要なものも確認します。
②吸引作業
一着ずつ、細かな埃や虫を取り除いていきます。
デスクの奥にあるのは吸引機。
小さなゴミも逃さないように綺麗にしていきます。
③スチーム作業
吸引のあとはスチーム作業。
長期間の着用や展示のあとには、生地に癖がついています。
それら一つ一つを、スチームをかけて伸ばしていきます。
新国立劇場のギャラリー「初台アート・ロフト」。アート空間であると同時に、文化資産である衣裳の修繕・保存活動もしています。
職人技術を紹介する「いま、ここ」、文化を思考する主催イベント「ボトルメール」なども発信中。
新たな視点で文化芸術を捉える基地になるべく変身中です。