第14期生による自作自演作品の発表会を行いました
第14期生6名による自作自演作品の発表会を、研修所スタジオ内で行いました。
バレエ研修所では開所以来、研修2年目の研修生を対象に"自作自演作品の創作"が、夏休みの課題として与えられています。上演時間は3分まで。研修生自身が作品のテーマやタイトルを考え、音楽を選び、振付をし、衣裳も決めます。それを自分自身が踊り、発表します。照明はスタジオでは思うようにできませんが、できる範囲でチャレンジしています。
1年目の研修生や予科生も、来年以降の自分たちと重ね、自分のことのように緊張しながらもとても楽しみにしています。
小さな発表会ですが、自分自身の内面と向き合い、これまでに学んだ技術を使ってどうすれば自分らしい表現ができるのか試行錯誤しながら、夏の間真剣に取り組む研修生の姿がありました。
自作自演作品の発表を行う14期生
山根くるみは『Heart of the doll』と題し、幼い頃から抱いていた"人形にもきっと感情があるのだろう"という気持ちを作品へと昇華させて、かつては愛されていた孤独な人形の心を描き出しました。多田そのかは『me time』で、バレエが好きという気持ちをドビュッシーの音楽に乗せて全身で表現。パーキンソン赤城季亜楽はエイナウディの楽曲「Experience」からインスピレーションを得て、人生における迷いや葛藤などの経験を題材にした『Wonder』を創作しました。岡田百音は『扉』と題して、恋をした時の気持ちの移り変わりを表現したストーリー性のある作品創りに挑戦しました。髙井惠里は、自身が夢の中で見た光景に着想を得て『nightmare』を創作。不安な気持ちや踠く姿を踊りで表現しました。ラストの仲村 啓は『貝の夢』と題し、いつも殻に閉じこもっている貝の中身の気持ちに想像を巡らせて、独自の世界観を紡ぎだしました。
6名の作品発表後、牧所長をはじめ、各講師や見学されていた方から講評をいただきました。「踊りが好きという気持ちが伝わってくる」「それぞれの個性が作品に如実に表れていた」と評価しながらも、「もっと体でとことん追求したら、観ている人にも創り手の気持ちがより伝わるのではないか」「どこか技術に頼ってしまっている印象もあった。もっと感情をぶつけて自分の殻を破ってみてほしい」など貴重なアドヴァイスもいただきました。
6名にとっては、あらためて"表現すること"を探求していくなかで、その楽しさとともに創作の難しさや自己の課題につながるよい機会となりました。今回の発表で終わらせることなく、いただいたアドヴァイスを糧にして、もっと作品を掘り下げ、自分自身の言葉で表現できるように探求しつづけます。