研修所ニュース

新国立劇場バレエ研修所 栄養学講師 村田裕子先生による  【若手芸術家のための栄養学】


 バレエ研修所でいつも「成長期のダンサーのための食事の取り方について」教えて頂いている講師の村田裕子先生による

「舞台芸術を志す若手芸術家の方々の体調管理にも役立つような"美味しい"お話」今月もニュースとしてお届け致します。

第4回目は【もっと魚を食べよう】をご紹介します。

 

- 新国立劇場バレエ研修所 栄養学講師 村田裕子先生による -

【若手芸術家のための栄養学】

第4回

 

 心地よい風とともに、すっかり秋らしくなりました。「芸術の秋」「スポーツの秋」「読書の秋」。秋は芸術性や集中力を高めるのにもっとも適した季節です。そして「食欲の秋」。初さんまにはじまり、あじ、いわし、さばといった青背の魚が旬を迎えます。

 魚に含まれる特徴的な栄養素といえば、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコタペンタエン酸)。青背の魚に豊富な成分ですが、まぐろ、鯛、鮭などにも含まれています。DHA、EPAともに魚の脂肪に含まれ、肉の脂肪とちがって固まらず、血管をしなやかにやわらかく保ってくれる働きがあります。同時に血液をさらさらにして、脳の血流もよくしてくれます。さらにDHAには、脳を活性化させる効果があります。記憶力と知能指数にも関わり、ものを覚える、思い出す、考える、やる気を出す、新しいアイディアがひらめくなどの力を高める働きがあります。にもかかわらず、日本人、特に若い世代の魚離れは急速にすすんでいるのが現状です。食の欧米化、調理がめんどう、ボリューム感がない、肉に比べて高いなどの理由があるようです。

 若い人たちにもっと魚料理を食べてもらうために、私はよく洋風メニューを提案します。魚料理というと煮魚、塩焼きなど種類が限られているイメージですが、トマト煮、ハーブ蒸し、チーズ焼きなど、洋風の味付けにするとレパートリーも広がります。また忙しくて料理をする時間がないという人には、究極の手間なし食材、お刺身をおすすめします。

 それでも圧倒的に魚を食べる機会が少ないときは、魚肉ソーセージや魚の缶詰など加工品を利用するという手もあります。常温で長期保存もできて、いつでもさっと食べられます。しかも値段が安い。意外に知られていないのですが、栄養の面でもとても優秀で、たんぱく質、DHA、EPA、カルシウムなどをてっとり早く手軽にとれる食品といえます。

 DPA、EHAの効果を維持するためにも、肉と魚は1対1で食べるのが理想です。朝食や昼食、補食に魚を食べる。夕食は1日おきに魚を食べるでもいいですし、1週間の食事のトータルで肉と魚を食べる回数を半々にしてもよいでしょう。もっと魚を食べる、毎日魚を食べ続ける、そんな栄養の積み重ねが、心とからだに意味をもたらしてくれるはずです。

*栄養満点の魚料理3品をご紹介します! 

①お刺身カルパッチョ

お刺身カルパッチョ.jpg 

もともとカルパッチョとは牛の生肉をいただくイタリア料理。

 

お刺身を洋皿に並べて、ドレッシングをかけるだけで、

イタリアンな雰囲気満点です。

 

生野菜を一緒に盛りつけて、サラダ感覚で。

 

お刺身は盛り合わせにすると、DHAEPAのほか、

 

いろいろな種類のアミノ酸やミネラルも摂取できます。

 

*お刺身カルパッチョ レシピはこちら

②レトロ・ナポリタン

レトロナポリタン.jpg

魚肉ソーセージや魚缶は常備しておくと、朝食やランチに大活躍。

 

魚の加工品もトマトの加工品も、旬の時期にとれたものを使っているので、

 

生のものに劣らないほど栄養素も豊富。

 

魚肉ソーセージと野菜をケチャップで炒めた懐かしの味です。

 

*レトロ・ナポリタン レシピはこちら

③アクアパッツァ

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アクアパッツァは魚をトマトオリーブどとともに蒸し煮にしたイタリア料理

 

切り身魚を使えば、ほとんど切る手間なし。作り方はいたって簡単です。

 

鯛のほか、あじ、たら、かじきなどでもOK。旬の魚で1年中楽しめます。

 

DHA、EPAが溶け出した蒸し汁もむだなくいただきましょう。

 

*アクアパッツァ レシピはこちら

 

                        

  *どうぞお試し下さい!