シェイクスピア戯曲では両家の対立や迫り来る時間が大きな要素であるが、一方、マクミラン振付の当作品ではロメオとジュリエットの感情的心理的側面が強調され、ストーリーが悲劇へと突き進む大きな要因は、ジュリエットの一途で激しいロメオへの愛である。戯曲では両家の和解で物語は終わるが、バレエでは若い二人の死で幕を閉じる。
戯曲では会話で表現される二人のやり取りは、バレエではパ・ド・ドゥで表現される。 ロメオとジュリエットのパ・ド・ドゥ ─最初の出会い、有名なバルコニーシーン、仮死状態の墓廟―での2人のほとばしるような喜び、幸福感、絶望の感情が身体を通して余すところ無く語られる。バレエが持つ表現力の多様性と深さを堪能していただきたい。