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英国を魅了した『ジゼル』-新国立劇場バレエ団ロンドン公演レポート

『ジゼル』ロンドン公演初日 カーテンコール photo by Tristram Kenton


新国立劇場バレエ団は、2025年7月24日(木)〜27日(日)にかけて、英国ロイヤルオペラハウス(ロンドン)にてバレエ『ジゼル』を上演しました。全5公演はすべてソールドアウトとなり、毎公演、スタンディングオベーションと熱狂的な拍手に包まれました。 また、現地主要メディアからも 5 つ星評価を獲得するなど、成功裏に幕を閉じました。




英国ロイヤルオペラハウス外観。『ジゼル』の公演ポスターが見える
街角のポスター


今回のロンドン公演に向けて、バレエ団のダンサーたちは初日の数日前に現地入り。リハーサルは、日頃から英国ロイヤルバレエが使用するスタジオという素晴らしい環境で行われました。限られた期間ながらも集中した稽古を重ね、ロンドン公演初日に向けて仕上げていきました。

ロイヤルオペラハウスの美しい舞台で少しずつ形を成していく『ジゼル』は、両劇場の技術スタッフの優れた舞台づくりを示していました。
舞台美術や照明、音楽、そしてダンサーが加わるリハーサルでは、東京ですでに上演している作品とは思えないほど、細かいところまで丁寧に確認が行われていました。



ステージリハーサル。美しい内観
初日に先立って行われたPress Showcase(プレス向け発表会)の様子 photo by Tristram Kenton


また、本番に先立つ7月22日には、リハーサル室にてPress Showcase(プレス向け発表会)が行われました。吉田都舞踊芸術監督と出演ダンサーによるトークでは、新国立劇場バレエ団が英国ロイヤルオペラハウスで公演を行う意義や、今回上演する『ジゼル』の魅力について語られました。あわせて、ダンサー2組による一部シーンの披露も行われ、本公演への期待が醸成されました。
この模様は
翌日の主要メディアに大きく報道され、初日を迎える前から注目の高さがうかがえる結果となりました。


初日キャストの米沢唯と井澤駿 photo by Tristram Kenton
ウィリたちの場面、客席から拍手が沸いた photo by Tristram Kenton


そして迎えた初日。
開演と同時に、劇場は熱気に包まれました。ダンサーの演技に対する反応、そしてコール・ド・バレエに対しても惜しみない拍手が送られるなど、日本国内ではなかなか経験できないような熱い反応をいただきました。観客の集中力と熱意に後押しされるように、カンパニー全体が一体となって舞台に臨んだ、初日となりました。

その後、The Independent、Financial Times、The New York Times など国際的主要紙をはじめとする多くのメディアが公演評を掲載し、5つ星(★★★★★)を含む高評価を獲得。舞台全体については、「精緻かつ情感豊かな演技」「幻想的な第2幕の美しさ」「カンパニーとしての一体感」など、多くの賛辞が寄せられました。

特に第2幕、ウィリたちによる群舞では、張り詰めた緊張感と詩的な動きに観客が引き込まれ、静寂の中から自然と拍手が湧き上がる場面も。 "thistledown lightness(アザミの綿毛のような軽やかさ)"と評された繊細な表現は、幻想的で美しいと高く評価されました(The Independent, Zoe Anderson, 2025年7月25日)。



主なメディア評(抜粋)


★★★★★
「このプロダクションの完成度、プロフェッショナリズムには驚かされた」
-- The Daily Telegraph, Mark Monahan


「このバレエ団が技術的にも芸術的にも世界の主要バレエ団と肩を並べる実力を持っていることを示した。」
-- The New York Times, Roslyn Sulcas


★★★★☆
「ウィリたちは、アザミの綿毛のように軽やかでありながら、容赦ない鋭さをもっていた。」
-- The Independent, Zoe Anderson


★★★★★
「ウィリたちの登場は幽玄で見事。群舞はスリリングで圧巻」
-- The Daily Express, Stefan Kyriazis


★★★★☆
「伝統的でありながら現代的な洗練を備えた演出と舞台美術」
-- Financial Times, Louise Levene


★★★★★
「米沢はまさに理想的なジゼルだった」
-- Bachtrack, Graham Watts


主要メディア各紙で大きくとりあげられた




吉田都 舞踊芸術監督 コメント

英国ロイヤルオペラハウスの舞台に立つことは大きな挑戦でしたが、新国立劇場バレエ団のダンサーたちはこれまで積み重ねてきたものを自分なりに表現し、ストーリーが客席にしっかり伝わったと思います。現地の皆さまに温かく迎えていただき、私たちの舞台を楽しんでもらえたことを、心から嬉しく思います。
木下グループ様をはじめとする、ロンドン公演のためにご尽力くださった全ての皆様へ深く感謝申し上げます。




このたびのロンドン公演は、新国立劇場バレエ団にとって貴重な経験となりました。これまで積み重ねてきた表現の力や舞台づくりへの取り組みが、海外の観客やメディアにも受け止められたことは、今後の活動への大きな励みとなります。
これからも多くの方にバレエの魅力、舞台芸術の魅力をお届けできるよう努めてまいります。


10月から開幕する2025/2026シーズンにも、ぜひご注目ください。


カーテンコールはスタンディングオベーションで迎えられた photo by Foteini Christofilopoulou
歓声にこたえる吉田都舞踊芸術監督 photo by Foteini Christofilopoulou
25日主演の小野絢子と福岡雄大 photo by Foteini Christofilopoulou
26日マチネ主演の柴山紗帆と速水渉悟 photo by Foteini Christofilopoulou
27日主演の木村優里と渡邊峻郁 photo by Tristram Kenton