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小野寺修二カンパニーデラシネラ『ふしぎの国のアリス』インタビュー

小野寺修二カンパニーデラシネラ『ふしぎの国のアリス』についてのカンパニー主宰者小野寺修二のインタビュー記事です。ぜひご一読ください。(新国立劇場友の会 会報誌「ジ・アトレ」2022年2月号より転載)


2017年に初演し、大人もこどもも楽しめる舞台として大好評を博した作品が帰ってくる!

原作の物語の世界観を独特なダンスとマイムで視覚化した、観る者の想像力を刺激する舞台、カンパニーデラシネラ『ふしぎの国のアリス』

当初2020年6月に再演を予定していたが中止となり、それから約2年後の今年3月、待望の再演が実現する、あのときの状況、今思うこと、そして『ふしぎの国のアリス』再演について、カンパニー主宰者小野寺修二にうかがった。

こんな表現形態もあるんだなと
驚いたり笑ったりしてほしい


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小野寺修二 ©SUZUKI Jouji

―『ふしぎの国のアリス』は2020年6月に再演が予定されていましたが、稽古開始直後に緊急事態宣言が発令されました。ステイホームの期間中はご自宅からカンパニーのメンバーと連絡を取り合い、稽古を進めていらしたとうかがっています。

小野寺 再演にあたり、できれば台詞をなくし、身体表現での可能性を探りたいと思って、劇場稽古場に入る前に、カンパニーメンバーでそれに向けてのあたりをつけていました。そうこうするうちに4月頭から緊急事態宣言が発令されそうだということになりましたが、その頃は、人流が一ヶ月止まれば、生活は元に戻るだろうと考えていたので、稽古が再開したらすぐ動き出せるよう、変更点を文字にして出演者と共有したり、やり取りをしておりました。実際は体を動かさないと稽古にならないのですが、6月の公演ができないかもしれないなどとは思いもせず、稽古期間が短縮されるとしても何とか間に合わせようと考えていました。

―2ヶ月近くその状況が続き、残念ながら公演の中止が決まりました。しばらくは活動ができなかったと思いますが、その間になさっていたことは?

小野寺 ひたすら家にいました。実際に稽古場に集まらないと何もできないと思っていたので。しばらくして、この状況でも何かできないかと、カンパニーメンバーでzoomで繋がり、お題を出しあったりして遠隔稽古をし始めました。

―活動を再開されて、最近では学校巡回公演なども行っていらっしゃいます。コロナ以前と意識が変わったところはありますか?

小野寺 自分自身、劇場に足を運ぶ回数がコロナ前と後とで随分変わってしまっています。配信など映像での表現も増え、間口が広がる良さと共に、人が劇場に赴く必然はジワジワ下がっているのを感じます。学校巡回で若い層に働きかけることが、何かのきっかけに繋がればと思います。このような状況下でも活動を続けていこうとするならば、自分自身、カンパニーの独自性をより見つめたいと思っています。

―そんななか2021年は大河ドラマ「青天を衝け」にご出演され、注目を集めました。大河ドラマでダンス、しかも家康と共演、というのはとても意外な組み合わせですが、反響はいかがでしたか?

小野寺 思うより多くの方に話題にしていただき、本当に嬉しいご褒美のような一年でした。また普段お会いしない映像関係の方に、自分の表現形態について共感いただき、一緒に作り上げる濃密な時間を持てたことは、活動してきたことについて大きく背中を押していただいた気がします。

―2017年の初演時には子どもたちの笑い声に小劇場が包まれた『ふしぎの国のアリス』。ついに実現する再演がとても楽しみです。

小野寺 初演から四年経ち、この間にいろいろなことがあって、また出演者とも随分久しぶりに集結します。しっかりとした物語としての軸があり、皆が共有している有名なシーンもある。こんな表現形態もあるんだな、と、驚いたり笑ったりしてもらいたいです。


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『ふしぎの国のアリス』舞台写真(2017年)