ニキヤが息絶え後悔に苛まれたソロルが夢の中で舞姫たちの幻影を見るシーンが「影の王国」。
この幻影の踊りは、抜粋上演されることも多い有名なシーンで三段の九十九折スロープをゆっくりと舞い降りる幻影たちの姿が圧巻。息を呑むほどに美しいシーンで、群舞の美しさに定評のある新国立劇場バレエ団の魅力を存分にご堪能いただけるシーンです。
物語の最後では寺院が轟音とともに崩壊し、その廃墟の中をニキヤが天に昇って行くシーンも大きな見どころ。マリインスキー劇場バレエが『ラ・バヤデール』にこの新国立劇場・牧阿佐美版の新崩壊シーンを取り入れています。またこの場面の音楽は、バレエ界の名指揮者・名編曲者で知られた故ランチベリーが、特別に編曲した世界オリジナルです。
登場人物が織り成すドラマも『白鳥の湖』や『眠れる森の美女』といった古典作品にない魅力があります。清楚で内に秘めた強さを持つ舞姫ニキヤ、恋人で王に仕える騎士ソロル、ソロルを慕う王の娘ガムザッティのニキヤとの確執、ニキヤを憎からず思う大僧正など。そうした複雑な人間ドラマを演ずるそれぞれのキャストを楽しみに公演に足を運ぶ観客も多い作品です。
インドの寺院に仕える舞姫ニキヤはラジャー(王侯)に仕える若い隊長ソロルと恋仲である。
ニキヤに思いを寄せる大僧正はニキヤを手に入れようと機会をうかがっている。
一方、ソロルの仕える王の娘ガムザッティはソロルとの結婚を望み、王の命にそむくことが出来ないソロルは心ならずも結婚を承諾してしまう。
絶望するニキヤは毒蛇にかまれて、解毒剤を差し出す大僧正の手を振り払って絶命する。
後悔の想いの中で夢を見たソロルは夢の中でニキヤと再会して至福のときを過ごすが、
彼が夢から覚めたとき、愛の力か、はたまた神の怒りか、寺院が轟音のなかで崩壊していく・・・。
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