プロフィール

【作】ベルナール=マリ・コルテス
1980年代以降、フランスを代表する劇作家。
1989年に41歳という若さでその生涯を閉じたが、フランス人でありながら、アフリカ、南米など辺境への放浪に明け暮れた生涯とその体験に裏付けられた彼のユニークな作品は80年代から脚光を浴びはじめた。それは当代きっての世界的演出家パトリス・シェローがコルテスの才能に着目し、83年に『黒人と犬の闘い』を演出したことにはじまる。同時代作家をとりあげることが稀なシェローが初演を手掛ける現代作家として、コルテスは『西埠頭』、『綿畑の孤独のなかで』、『砂漠への帰還』を次々と世に送り出したのだ。さらにコルテス晩年の作『ロベルト・ズッコ』は彼の死の翌年に、これまたドイツの俊英演出家ペーター・シュタインによって初演されたのを口火に世界中で上演される問題作となった。没後20年が経つ今日でもヨーロッパ演劇の最前線、現代フランス演劇の巨星と目され、ヨーロッパでは毎シーズンのように多くの演出家たちが競って舞台化を目指す人気劇作家として今なお熱い注目を集め続けている。
コルテスの作品は日本でも『綿畑のなかで』が柄本明主演で上演、また佐藤信演出、堤真一、中嶋朋子出演で『ロベルト・ズッコ』が上演されたほか、文学座や劇団黒テントなどでも上演されている。また昨今では大学の仏文科でも教材として取り上げられることが多い作家である。

【演出】モイーズ・トゥーレ
1962年、コートジボワール生まれ。1984年にフランス、グルノーブルで劇団を設立、デュラス、サルトル、コルテス、ル・クレジオ等のテクストを素材にして、フランスのみならずモロッコ、ナイジェリア、ボリヴィア、ドミニカ、マリ、ブラジル、セネガル、カリブ、ポルトガルなど、国外へも積極的にパフォーマンス活動の場を広げている。日本でも学習院大学でワークショップ、研究公演を実現した。
1996年から2007年にかけて、パリのオデオン座の芸術監督だったジョルジュ・ラヴォーダンのアシスタントとして、「ヨーロッパ劇場」をはじめとするオデオン座の企画作りに参加。また、旧植民地を含め、広くフランス語圏をカバーする国の組織『共和国文化活動委員会』の一員として、フランス本国とアフリカをつなぐ様々な舞台パフォーマンスを精力的に企画、実行してきた。
2004年からはフランス東南部、サヴォワ地方の国立劇場、アヌシー国立劇場の所属演出家として活躍。
コルテスの没後20周年である2009年から2010年はコルテス作品を世界で上演展開している。演出者、企画者として、フランス本国での評価も高い。

【振付】フランシス・ヴィエット
ピナ・バウシュのカンパニーでダンサーとして活躍後、振付家としても活躍の場を広げている。特に、独自のメソッドをもって、ダンスを本業としないアーティストへの身体表現指導が高く評価されている。本作品でもフランシスの振付で、登場人物の特徴を印象づける数多くのムーブメントが展開される予定である。

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