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水野修孝:天守物語

 
公演監督:大賀寛
台本  :金窪周作 
補作  :まえだ純
作曲  :水野修孝
指揮  :星出豊 
演出  :栗山昌良
舞台美術:石黒紀夫
衣裳  :緒方規矩子
照明  :沢田祐二
合唱指揮:坂本和彦
舞台監督:中村眞理
演出助手:小須田紀子/十川稔
副指揮 :樋本英一/須藤桂司
芸術監督:畑中良輔

<日程>

1999年 2月13日(土)18:30
      14日(日)15:00
           全2回公演

S席:15,750円
A席:13,650円
B席:10,500円
C席: 7,350円
D席: 5,250円
E席: 3,150円

前売開始 :1998年11月7日(土)10:00〜


   
 <出演者>
  2/13(土) 2/14(日)
天守夫人   富姫: 大川隆子 佐藤ひさら
姫川図書之助   : 小栗純一 黒田博
猪苗代亀の城 亀姫: 斉田正子 天羽明惠
奥女中     薄: 永田直美 森山京子
朱の盤坊     : 築地利三郎 大澤建
舌長姥      : 丹波勝海 浦野りせ子
侍女    女郎花: 小川明子
        萩: 腰越満美
        葛: 三角枝里佳
       撫子: 高橋知子
       桔梗: 津久井明子
山隈九平     : 峰茂樹
小田原修理    : 小宮一浩
武田播磨守    : 久保和範
近江之丞桃六   : 平野忠彦

合唱       : 新国立劇場合唱団
杉並児童合唱団
管弦楽      : 東京交響楽団



あらすじ

封建時代の晩秋、播州姫路の白鷺城天守閣。天守第五重の欄干から、麗しい侍女達が白露を餌に釣り糸を垂れ、秋草釣りに興じていると突然、閃光と共に美しく気高き天守夫人・富姫が現れる。姫路城主の騒々しい鷹狩を、嵐を呼んで中止させるために、越後の国の夜叉が池まで出かけていたのだ。そこへ頃合い良く、富姫の妹分で猪苗代亀の城の主・亀姫が、赤面に大山伏の扮装の朱の盤坊、舌が3尺もある舌長姥等を従えて訪問。手土産に姫路城主の兄で、亀の城の主・武田衛門之助の首を渡す。二人が手毬に興じ朱の盤坊、舌長姥は艶やかな侍女達の舞や酒でもてなされていると、鷹狩から帰ってくる行列が見える。亀姫が行列の中の城主秘蔵の鷹を誉めると、富姫はこれを土産の返礼の品に決め、瞬く間に手に入れる。鷹が天守閣へ逃げたと思った家臣は、矢や鉄砲を天守に撃ち込むが、富姫達はものともせず、亀姫の一行は帰路につく。富姫が一人、机に向かっていると、姫路城主に仕える凛々しい鷹匠・図書之助が息を殺して階段を上がってくる。彼は、鷹を逃した科で、城主から切腹の代わりに、恐ろしく誰も行こうとしない天守へ、鷹を探しに行くよう命じられた事を告げる。富姫は、図書之助の清廉さに心動かされ、二度と来てはならないと伝えて彼を生きて返す。ところが、再び天守に現れた図書之助の姿に富姫は恋心を抱く。そして、傲慢で卑怯な人間の世界を捨てて天守に留まるよう説得するが、図書之助は世のしがらみを断ち切れない。仕方なく、播磨守代々の家宝である兜を、天守に来た証拠に持たせて返すが、冤罪を着せられた図書之助は、武士に追われて再び富姫の待つ天守に逃げ込む。富姫と図書之助は、獅子頭のほろに身を隠すが、追手がこの獅子の目を刀で傷つけると、二人も失明する。討手が去った天守で、盲目となった二人は、互いに“愛の死”を覚悟する。そこへ獅子頭を彫った職人・桃六が現われ、再び獅子頭に目を入れる…。

耽美派の泉鏡花の戯曲を基にしたオペラ

白鷺城に棲む美しい妖怪・富姫と鷹匠・図書之助との幻想的な恋物語。
「もし、『天守』を上演してくれたら謝礼はいらぬ。こちらでお土産をおくるのだが…」と、泉鏡花自ら語っていたほどの自信作「天守物語」は、1917年に発表され、新派劇、映画、歌舞伎など様々な形で上演されてきました。オペラとしては1979年に初演され、現在では日本オペラ不朽の名作「夕鶴」等に続く力作として愛されています。「天守物語」は「夜叉が池」(1913年)と並び、大正の新時代を迎えて円熟期に入った鏡花の戯曲作品で、永井荷風や芥川龍之介ら反自然主義作家の熱烈な支持のもとに、その個性をいかんなく発揮した傑作です。播州姫路の白鷺城に棲む美しい妖怪・富姫と、「千歳百歳に唯一度、たった一度の恋だのに…」といって富姫が身を捧げた、若く凛々しい鷹匠・図書之助との恋物語。この夢幻世界がオペラになる事で、原作の持つ幻想性、官能性がひときわ輝きをもって再現されます。さらにこの作品には、幻想的で美しいばかりでなく、現実世界を見つめる鏡花の厳しい目が光っています。自然を破壊し、傲慢で疑い深く臆病な人間の一面を、天守に棲む美しい妖怪を通して描くことにより、痛烈に批判・風刺しているのです。「とうりゃんせ」や「手まり唄」といった童歌を織り交ぜながら、幻想の世界へと誘う水野修孝の音楽と栗山昌良の演出で、鏡花の世紀末的美学をご堪能ください。


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