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2006/2007シーズンオペラ (芸術監督からのメッセージ)
 
2006年9月7日、新国立劇場で私の4シーズン目、そして最終シーズンの幕が開きます。03年10月に公演いたしました、私のシーズン・オープニング公演『フィガロの結婚』以来、熱心なお客様のご支援、そしてアーティストや劇場関係者のお力添えによ り、この劇場は驚くほどの成長を遂げました。世界でも主要なオペラ劇場のひとつとして認識され、05年9月には権威あるインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙で、2005/2006シーズンの世界の主要歌劇場ベスト12に選ばれました。今や、アーティストも自らの創造力と芸術性をもって皆様に喜んでいただけるオペラを新国立劇場で公演したいと心から願っています。
 4度目のシーズンのテーマは、“Fate of Farewell”(運命・希望ある別れ)です。悲劇的な別れであっても、ちょっと視点をかえてみれば新たな“何か”が芽生えている、そんな前向な希望に注目してみました。「ひとつの時代の終結、それに続く新たな時代の誕生」。これが今シーズンの全オペラ作品にこめられたメッセージです。
 

『ドン・カルロ』 【新制作】
ヴェルディの傑作で、詩人フリードリヒ・シラーのロマンティックで理想主義的なドラマを基にした作品『ドン・カルロ』が、シーズンのオープニングを飾ります。指揮者のミゲル・ゴメス=マルティネスと演出のマルコ・アルトゥーロ・マレッリは、理性と友情、叶わぬ恋などの情熱的な話を、印象的な演出と心に響く音楽で語るでしょう。ミロスラフ・ドヴォルスキーとルドルフ・ローゼンが、ドン・カルロとポーザ侯爵という演劇史上もっとも有名な友達として、初役のデビューを果たします。ヴィタリ・コワリョフがとても優れた伝統的な歌唱で見事なフィリッポ二世を演じます。マルゴルツァータ・ヴァレヴスカは、生き生きとした性格のエボリという役で、私たちを魅了するでしょう。そして、注目すべきは大村博美です。04/05シーズンでの『蝶々夫人』タイトルロール、05/06シーズンでのネッダ(『道化師』)を、それぞれ違った魅力で演じ上げた彼女が、エリザベッタに挑戦します。どうぞご期待ください。
 
『イドメネオ』 【新制作】
この作品は、非常に輝かしいアリアだけではなく、啓蒙主義の精神に深く根付いているという点で、モーツァルトの作品のなかで最も興味深いオペラといえるかもしれません。グリシャ・アサガロフは持ち前の演出力で、私たちを古典的なギリシャ時代へと導きます。そして、クレタ王が政治家として人々の模範となるよりも、わが子を救いたいという個人的な感情を優先する宿命を、私たちは痛感することでしょう。素晴らしいキャストと東京フィルハーモニー交響楽団とともに、ダン・エッティンガーが、印象に残る解釈でモーツァルトの音楽を創りあげ、皆様にお届けすることを約束します。ジョン・トレレーヴェンが力強い姿でイドメネオを、そして、世界に誇るメゾ・ソプラノ藤村実穂子が息子イダマンテを演じます。エミリー・マギーのエレットラは、誰もが気に入るに違いありません。
 
これらの新制作オペラのあとは、2つの素晴らしいレパートリー作品をお届けいたします。
 
『フィデリオ』
『セビリアの理髪師』
両作品とも見逃すことができない素晴らしい新キャストでお届けします。『フィデリオ』の指揮はコルネリウス・マイスターです。ドイツ出身の若く有望な指揮者として、すでにヨーロッパの音楽シーンに強烈な衝撃を与えました。ハルトムート・ヴェルカーのドン・ピツァロ、ステファン・グールドのフロレスタン、そして、レオノーレを演じるエヴァ・ヨハンソンは、可能な限りの強いパートナーとなると確信しています。
そして、皆様を驚嘆させたヨーゼフ・E.ケップリンガー演出の『セビリアの理髪師』は、記憶に新しい作品でしょう。今回は、ダニエラ・バルチェッローナがロジーナとして登場します。また、ローレンス・ブラウンリーがアルマヴィーヴァ伯爵、マウリツィオ・ムラーロがバルトロ、ラッセル・ブラウンがフィガロを演じます。素晴らしいキャストが皆様をこのオペラの魅力へ誘います。
 
『さまよえるオランダ人』 【新制作】
『さまよえるオランダ人』では、リヒャルト・ワーグナーの解釈を新国立劇場の手法で明確にしていきます。ドイツ出身の若手演出家、マティアス・フォン・シュテークマンが演出を手がけます。ワーグナー作品の知識と思想の理解は、彼の数多くの演出の中で立証済みであり、この傑作の真髄を皆様にお届けいたします。また、指揮者ミヒャエル・ボーダーが、その情熱的な解釈で演出に応えます。とても感慨深い作品になることは間違いありません。そしてバリトンの新星、ユハ・ウーシタロを見逃すことはできません。ゼンタのアニヤ・カンペ、エリックのエンドリック・ヴォトリッヒとの共演もどうぞご期待ください。
 
『運命の力』
非情な運命に翻弄される男女の人間ドラマを3人のとても印象深い歌手とともにレパートリー作品としてお届けします。インドラ・トーマスのレオノーラを筆頭に、水口聡のドン・アルヴァーロ、ウラディーミル・チェルノフのドン・カルロが、情熱的な公演を約束してくれるでしょう。
 
『蝶々夫人』
世界的なテノール歌手ジュゼッペ・ジャコミーニは、今年ステージデビュー40周年を迎えます。彼はこの記念すべき公演に新国立劇場を選び、オペラデビューを飾ったピンカートンで出演いたします。共演者としてイタリアを中心に活躍しているソプラノ歌手、岡崎他加子がタイトルロールを務めます。私は、このような特別な公演において、指揮をお引き受けくださった若杉弘氏に感謝の意を表します。
 
『西部の娘』 【新制作】
続く新制作の作品は、『西部の娘』です。プッチーニは、荒っぽくセンチメンタルなゴールドラッシュ時代のアメリカで生きた、勇気ある女性を描くことで、もうひとつのモニュメントを築きました。この作品に心が動かされない人はいないでしょう。私は、演出をするアンドレアス・ホモキが、素晴らしく偉大な力でこの作品を深く巧みに表現し、ウルフ・シルマーの指揮が皆様の心に深く残る音楽を導くことを確信しております。そしてキャロル・ヴァネスが演じるミニーは、2人の男性ルチオ・ガッロによるジャック・ランスと、アティッラ・B.キッシュによるディック・ジョンソンの狭間で愛と情熱に悩まされるのです。
 
『ばらの騎士』 【新制作】
私はラストシーズンの最後の新制作の作品に、リヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』を選びました。『ばらの騎士』ほど“時間”の深い英知や意味を表現しているオペラは他にありません。そして、これらの美や英知を、ペーター・シュナイダーとジョナサン・ミラーの2人以外の誰が魅せることができるのでしょうか。そして、カミッラ・ニールント、ペーター・ローゼ、エレナ・ツィトコーワ、ゲオルグ・ティッヒ、オフェリア・サラと邦人歌手のアンサンブルが見事に調和し、この劇場が深く大きな感動に包まれることを確信しています。
 
『ファルスタッフ』
『ファルスタッフ』は、私から皆様への送別の作品です。私と指揮のダン・エッティンガー、タイトルロールのアラン・タイタスをはじめ、ヴォルフガング・ブレンデル、セレーナ・ファルノッキア、カラン・アームストロング、樋口達哉、中村恵理ともに、皆様にメッセージをお届けしたいと思います。
“人生、どんな試練が来ようと、最後は笑って冗談としよう……”
 

 
アーティストたちは、これらの素晴らしい公演の幕が上がり、皆様の夢を叶える時を楽しみにしております。皆様のご来場を心からお待ちしております。
オペラ芸術監督 トーマス・ノヴォラツスキー
オペラ芸術監督
トーマス・ノヴォラツスキー
Thomas Novohradsky
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