G.ロッシーニ セビリアの理髪師
  アルマヴィーヴァ伯爵 ロジーナ
初演(2005.10) F.v.ボートマー R.シャハム
再演(2006.12) L.ブラウンリー D.バルチェッローナ

シーン2(第1幕)

次に、日本公演ならではのおもしろさを演出したシーンを見てみよう。

2005年公演より

酔っぱらいの兵士のふりをしたサングラスをかけた男が伯爵で、バルトロを挑発している。戦いをしたいのか、お前は。

このシーンに入れ込んだのが実は相撲である。相撲の四股を踏む、要するにお前ら戦いたいのかと。彼らに最初日本人っていうのはどうやって戦うんだ。例えば侍なのか、刀なのかって聞かれたので、刀は実際に持ってないし、わかりにくいので、では戦うとき、四股を踏んでみようってことになった。四股を踏んで相撲を取るのだが、後ろにいる乞食のようななりをしたアンブロージオに行司をやってもらった。また、ただ相撲を取るだけだとおもしろくないので、アテンション=気をつけろっと言うときに相撲の何かちょっとひきょうな手はないかなと思ったときに、「猫だまし」、力でぶつかるのではなく、そういうちょこざい手を使って相手を目くらましさせてみたのが次のシーンである。

 
2006年公演より(左右とも)

伯爵役のローレンス・ブラウンリーはファンディエゴ・フローレンスに次いで世界で今2番目に売れているロッシーニ歌いのテノールだが、世界中で歌っていて、そして世界各地でその土地ならではのおもしろい話、おもしろい冗談を入れていくのを楽しみにしているという歌手で、この日本では彼は相撲のポーズをとったわけである。