平成20年度 新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 椿姫

指揮者が語るオペラ「椿姫」の魅力

タイトルについて

最後にこのオペラのタイトルについて。「ラ・トラヴィアータ」とは日本語にすると「道を踏み外した女」という意味なのです。原作の小説の作者アレクサンドル・デュマ・フィスのタイトルは「椿姫」(La Dame aux camellias「仏」)で、その主人公が、夜の世界(裏社交界)に生き白い椿を好むために人々から「椿姫」と呼ばれていたのです。それをヴェルディは、主人公の立場の弱さとそれにも関わらず貫いた純愛の結果である悲劇を描くにあたって「ラ・トラヴィアータ」とのタイトルがふさわしいと考え、このタイトルになったのです。日本では原作の「椿姫」のタイトルがそのまま使われているというわけです。

オペラのこと、人物のこと、音楽のこと、少しでも劇場で見る前に興味が膨らんでくれれば幸いです。それでは皆さん、劇場でお会いしましょう!

プロフィール

城谷正博(じょうやまさひろ)

東京生まれ。東京芸術大学作曲科、同大大学院指揮科修了。作曲を野田暉行、川井学、故黛敏郎各氏に、指揮法を故佐藤功太郎氏に師事。安宅賞受賞。これまでに大阪センチュリー交響楽団、群馬交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、東京シティーフィルハーモニック管弦楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団を指揮。2000年9月より2年半に渡り神奈川フィルハーモニー管弦楽団の副指揮者をつとめた。
オペラでは2000年「フィガロの結婚」でデビュー、その後多くの作品を指揮している。最近では2007年11月には日生劇場ベッリーニ「カプレーティ家とモンテッキ家」の指揮を務め好評を博した。
古典から近現代、また現代日本ペラと幅広い作品をレパートリーとしているが、
特に近年日本におけるドイツオペラ、とりわけワーグナー、R・シュトラウス
上演には欠かすことのできない存在であり、その主要作品のほとんどをレパートリーとしている。
新国立劇場では音楽スタッフとして1998年以来数多くのプロダクションに関わり、現在は同劇場のすべての演目に携わり劇場の音楽的責任を担っている。特にプロンプターとしての手腕は優れており、国内外の歌手から絶大な信頼を寄せられている。
2007年2月小劇場オペラ「フラ・ディアヴォロ」で指揮を務め絶賛を博した。