2012年10月17日
新国立劇場バレエ団ダンサーの振付による作品集「First Steps」公演
振付家へのインタビュー
新国立劇場バレエ団ダンサーの振付による作品集「First Steps」は、バレエ団にとって初めての試みです。
今回作品を発表する9名の振付家の一人、マイレン・トレウバエフに作品について語ってもらいました。
―振り付けについてワガノワバレエ学校でバレエマスターコースをとっていましたので、そこで振り付けも学びました。振り付けへの興味はずいぶん前からありましたね。日本に来てからはほとんど踊る側でしたが、それでも数本振り付けたことはあります。
―今回は4作品振り付けました。いろいろなアイデアを持っていますので、もっと作品をつくることもできますよ(笑)。
この4作品はそれぞれ異なったキャラクターを持っており、表現する感情も違います。
例えば、
『ブランコ』という作品。ここではメランコリー、懐かしいと同時にちょっと胸を締め付けられるような感情を表しています。僕は、ブランコが揺れるときに出す「キー、キー」という音を聞くと、子ども時代を思い出します。そのイメージで作りました。
『最後の手紙』は、一方的に別れを告げられた時のような怒り、絶望、悲しみ、といった感情を表現しています。
『マザー・ナイト』はこの作品に使っている曲の歌声から、あらすじが浮かびました。この曲のオリジナルの歌詞とはあまり関係なく、ひとつの作品として表現しています。説明は難しいのですが、生や死、喜びや悲しみすべてを包みながら時(とき)は止まることなく進んでいってしまう。子供から大人へと成長するにつれて大切なことを忘れてしまいがちになるけれど、『マザー・ナイト』はすべてを覚えていてくれるのです。孤独でつらいときにも『マザー・ナイト』が寄り添っていてくれる、そんなことを表現した作品です。一方
『スカイ・トリオ』では明るく楽しい恋の駆け引きのような作品です。ターンやジャンプなどもたくさん出てきます。
―ずいぶん違いますね。どこからアイデアを得るのですか?音楽です。音楽を聞いてイメージをふくらませます。それから、ダンサーとリハーサルを重ねて作り上げます。ダンサーからもヒントを得て、考えていたものからどんどん変化していくことが多いですね。僕は、変化は作品づくりにはとても重要なプロセスだと思っています。
―”First Steps”公演についてこのような機会をもらってとてもありがたく思っています。これからも続いていってくれると嬉しいですね。”First Steps” に参加する振付家も作品を踊るダンサーも普段のリハーサルの合間をぬって努力を重ねています。観客の皆様にきっと喜んでいただけると思いますので、たくさんの方に観ていただきたいです!