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2012年10月10日

マンスリー・プロジェクト演劇講座「リチャード三世の魅力」を開催しました

10月の演劇講座「リチャード三世の魅力」が、8日(月・祝)に中劇場で開催されました。

「リチャード三世」の昼公演終了後の熱気が冷めやらぬ中、三年前の「ヘンリー六世」三部作をご覧になったお客様や、シェイクスピアのファンを含め、一階席は満席となる盛況となりました。

講座はまず小田島氏の、「基礎からわかるリチャード三世」で始まりました。薔薇戦争八部作のうち時系列では後半だが執筆順では前半、シェイクスピア27〜28歳の頃に書かれた「リチャード三世」を、家系図が書かれた資料を使ってわかりやすく順を追って説明し、歴代の王の即位の経緯や、リチャード三世に殺された人たちの関係が明解になりました。

小田島氏が、「シェイクスピア作品で悪役が主人公なのは『リチャード三世』と『マクベス』だけで、なかでもリチャード三世のキャラクターは、芝居気たっぷりで愛嬌がある」と語れば、鵜山氏は、リチャード三世が企みを実行する前に観客に向かって独白するシーンに触れ、この客を敵に回しているのか味方にしているのかわからない語り口が魅力的だと話しました。

また、本公演でリチャード三世を演じている岡本健一もサプライズで登場、「リチャード三世」の本自体が面白いこと、そして1590年豊臣秀吉の天下統一の頃の作品を現代の東京で上演していること自体が凄いと話しました。

お客様からの質問も沢山いただき、岡本健一が、戦いの場に入ってからは、死に向かっていくと思うと台詞を覚える気にならなかったこと、女性たちの呪いのシーンの稽古はとても聞いていられなかったこと、小田島氏の人称代名詞や固有名詞の翻訳についての苦労話、鵜山氏から、月面にも見える舞台装置は、氏が戯曲を読んだり英国の戦跡巡りをした際に感じた、長い時間の流れというものを、美術の島氏が具現化したものであることなど、興味深い話をたっぷりと聞くことができました。

開催後、お客様からは、「分かりやすい解説をしていただき、複雑な歴史上、登場人物の関係がクリアになってよかった」「小田島先生のシェイクスピアへの愛が伝わってきた」「小田島先生の駄洒落が健在で嬉しく思った」「小田島先生、お身体をお大事にされてください」「岡本さん、本公演終了後でお疲れのところ、有難うございました」などの感想をいただきました。
   

小田島雄志              鵜山 仁

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「マンスリー・プロジェクト」は、リーディング、講座、トークなど多彩なプログラムで、直近の演劇公演を、さまざまな角度からお楽しみいただくための催しです。 参加は無料です。(※事前申し込みが必要です)。ぜひご参加ください。
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