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2012年4月13日

ダンス公演「DANCE to the Future 2012」メディア掲載情報 
(読売新聞掲載記事のご紹介)

 新国立劇場バレエ団ダンサーがコンテンポラリーダンス公演に登場する、新国立劇場ならではの公演 〜DANCE to the Future 2012 平山素子「Ag+G」「Butterfly」「兵士の物語」〜が、いよいよ4月21日(土)、22日(日)に上演されます。本公演の演出・振付を手掛ける平山素子氏について、3月23日に読売新聞に掲載されたインタビュー記事、「平山素子を変えたニジンスキー版『春の祭典』」をご紹介します。
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    清水健司撮影
平山素子を変えたニジンスキー版「春の祭典」

21世紀の踊りへ勇気


 2005年に兵庫県立芸術文化センターの開館記念公演で、ヴァーツラフ・ニジンスキー振り付けの「春の祭典」の主役を踊りました。
 私は幼少よりバレエを習い、大学に入ってダンスの創作を学びました。以来、ゼロから創造することが活動の中心でした。ですから、歴史的な名作を踊るのは意外にも初めてで新鮮でした。

 「春の祭典」は1913年にニジンスキーが初めてバレエ化して以来、たくさんの方が振り付けています。当時、私はピナ・バウシュやモーリス・ベジャールが振り付けた版に興味が向いて、ニジンスキー版はよく知らず、リハーサルに入る前に、これまでにないほど作品のことを勉強しました。
 本作を復元したミリセント・ホドソンさんからは直接指導を受け、実際に踊ったバレエ・リュスのダンサーに取材したことなど、振り付けを再現するプロセスも教わりました。

 作品の内容は、春を迎えた村が神様を鎮めるため、若い乙女を生け贄に捧げるという珍しいものです。拍子がとりにくいストラビンスキーの音楽をバレエにするという発想は独特です。
 振り付けもかなり癖があります。バレエは背中や首は真っすぐにすることが基本姿勢ですが、この作品では脚は内股で、首を曲げ、猫背気味に踊ります。
 構成も極端で、生け贄の乙女は主役なのに舞台中央で立ち尽くしたまま約8分は何もしない。その後、急に跳び上がって7分間に130回ジャンプを続けて死の恐怖をリアルに表現する。
 踊ってみると、ニジンスキーは相当変な人だと思いましたが、同時にその才能に嫉妬も覚えました。これを乗り越えて今の私は何をすべきか?大胆な発想をしないと21世紀のダンスは生み出せない。勇気をもらいました。

 その後、新国立劇場で「春の祭典」を振り付ける機会を得て、過去の振付家が試みたこととは異なる、20世紀の音楽に21世紀の振付家が挑んだ成果を見せたいと臨みました。私の「春の祭典」は2台のピアノ演奏で男女のデュオです。創造とは、挑戦とは何かを改めて考える刺激的な機会であったと思っています。

 今、リハーサル中の「DANCE to the Future 2012」も、私を育て、勇気を与えてくれる機会になると信じています。ダンサーとともに未知なる創造エネルギーに身を投げることを楽しんでいきます。


◇ひらやま・もとこ
ダンサー・振付家。2006年にボリショイ・バレエ団のS・ザハロワにソロ作品を提供した。4月21、22日に東京・初台の新国立劇場で「DANCE to the Future 2012」を上演。新国立劇場バレエ団が平山の「Ag+G」「Butterfly」「兵士の物語」を踊る。「バレエ団に振り付けるのは初めてです。彼らの肉体を普段と違う形で提示したい」

2012年3月23日 読売新聞(聞き手・祐成秀樹)

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4/21(土)「DANCE to the Future 2012」演出・振付:平山素子によるアフタートーク決定! 詳しくはこちら