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2012年3月19日

3月のマンスリー・プロジェクト スペシャルトーク「鄭義信 3作品をふりかえる」
が開催されました

「マンスリー・プロジェクト」の23年度最後の企画、スペシャルトーク 「鄭義信 3作品をふりかえる」が、3月17日(土)、小劇場で開催されました。

在日韓国人三部作の作家、鄭義信氏より、一作目の「たとえば野に咲く花のように」はもともとギリシャ悲劇「アンドロマケ」を題材に、在日韓国人の話に置き換えて書かれた作品で、続いて翌年ソウル芸術の殿堂との共同制作で書かれた「焼肉ドラゴン」が数々の演劇賞を受賞する話題作となったことで三作目の依頼となり、結果的に三部作となったこと。「パーマ屋スミレ」は前作「焼肉〜」の取材の際、伊丹空港の滑走路建設の為に集まった人夫の多くが、廃鉱になった炭鉱から流れて来た在日であったことを知り、三池炭鉱の話を取り上げたいという思いから誕生したこと。「パーマ屋〜」では、CO患者になると下半身が機能しなくなるなど、当時はタブーであった悲しい事実をあえて取り上げたこと、などを語っていただきました。

また、鄭氏の作品の背景には、韓国から写真でしか見たことのない祖父の妻になるために海を渡り、その後祖父に早くに先立たれ子供達を女手一つで育てた祖母の影響が大きいこともわかりました。

お客様は熱心に聞き入り、「『パーマ屋スミレ』を観て、名もなき人たちの悲しみや喜びの物語に涙した。またトークを聞き、芝居を通じて日本の今を考えることができると感じた。」は「観劇時に気付かなかったことも復習できてよかった」「内田洋一氏の作者を知りつくした視点からの質問が的確で、大いに評価したい」などの感想をいただきました。
  

内田洋一

鄭 義信