2011年12月7日
『ルサルカ』 公演 “傑作”と評され公演終了。
演出 ポール・カラン氏 オペラ研修所マスタークラスでも大活躍
『ルサルカ』公演が無事終了し、ファンタジーの世界を創り上げた舞台装置は、本日、新国立劇場からオスロのノルウェー国立オペラ・バレエに戻って行きました。(本公演は、ノルウェー国立オペラ・バレエからのプロダクション・レンタル)
このプロダクションで特に高く評価されたのがポール・カランの演出。彼は演出以外にも、公演付帯イベントへの参加、オペラ研修所の特別講義、マスコミ取材対応、劇場職員・スタッフとの交流など精力的に活動し、その類まれなる才能と人を惹きつける力で、多くのファンを獲得しました。
 『ルサルカ』 撮影:三枝近志 |  ノルウェー国立オペラ・バレエのテクニカル・ステージ・マネージャー Lars August Osterlieさん |
12月6日に最終公演を終えた幻想的なメルヘン・オペラ『ルサルカ』。切なくも美しいアリア「月に寄せる歌」は有名ですが、日本国内でオペラ公演としての上演は非常に少ない名作です。そのため、大半が映像でしか観たことがない方や、初めてご覧になるお客さまでした。青を基調とした美しい舞台に精霊たちが戯れ、暗闇に輝く大きな月から美しい魔法使いが現れ、王子の愛を求める代わりに声を失ったルサルカが全身で愛と希望と苦悩を表し、まさに“大人版リトル・マーメイド”といったファンタジーの世界。作品を知り尽くしたチェコ出身の指揮者キズリンクは、ドヴォルザークの響きを見事に引き出したと好評を博しました。オスロのノルウェー国立オペラ・バレエのオペラ芸術監督でもあるポール・カランは、今回の来日期間中、作品の演出のほか、トークイベントへの出演を2回(※)、さらに劇場のオペラ研修所での特別講義で「マスタークラス」を行いました。公演情報ページは下記をご参照下さい。
☛(※)◆舞台美術・演出の魅力を語る「ルサルカ」トークセミナー
☛『ルサルカ』公演舞台写真
 コンテナは、海路ノルウェーに向かいます。 |  ルサルカのドールハウス |
11月21日22日の二日間にわたって行われたマスタークラスの様子をオペラ研修所13期 柴田紗貴子が以下のようにレポートしています。
ポール・カラン氏の特別講義を受講して今回、本公演《ルサルカ》の演出家で来日中のポール・カラン氏をお迎えし行われた特別講義は2日間で計4時間というけっして長くはない時間でしたが、この講義は私達、オペラ研修生にとって特別なそして最高の時間となりました。
講義では、主に舞台上での表現方法を学びました。カラン氏が最も切要(*きわめて重要なこと)としていたことは「Sub Textサブテキスト」と「Body Languageボディランゲージ」の大切さです。オペラに登場するキャラクターが何を目的としてそこにいるのか、また台詞の裏にある本当の気持ち(サブテキスト)とは何かを考えるということです。次にそれらのメッセージを「Body Languageボディランゲージ」を使って、キャラクター自身の感情として表現していくのです。実際に「Mimiミミ」役の子が歌っている時にこの方法で順を追って実践していきました。すると表現がリアルに変わっていくことで、歌にも変化が表れていき、全体が格段に良くなっていったのです。ほんの数分前とはまったく違う、「Mimiミミ」というキャラクターがそこに存在していたのには驚きました。
また、《ルサルカ》の公演を観る機会をいただきました。公演を観たときにすぐに感じたのです。“これが彼の求めている表現なのだ!”と。舞台上で“今”その瞬間を感じ、呼吸をし、キャラクターとして生きること。そのようにして作られたキャラクターによる「Body Languageボディランゲージ」から発せられるメッセージが、嘘偽りないキャラクターを形成していくのだ!と痛感しました。それが、私たち歌い手が陥りやすい「歌うことへの執着」からの解放へのもっとも近い道にもなるのだ!と。
今回、カラン氏の講義を受講することで、「世界で求められている歌手とはどういうものなのか」、「私たち日本人が世界で活躍するためにすべきことはなにか」という大切な考え方を教えていただきましたし、ぜひ将来、カラン氏の演出する舞台に立ちたいと強く思いました。私たちはこれからも一層の精進をしていく所存です。そしてその願いがかなう時、その時の舞台では嘘のないキャラクターとなって物語を作りあげる自分になっていたいと思っています。(オペラ研修所13期 柴田紗貴子)
 ポール・カランを囲んで |  |