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2011年7月13日

ローラン・プティ氏ご逝去の報を受けて

 哀悼の辞

 7月10日、ローラン・プティ氏がスイスのジュネーヴにて逝去されました。享年87歳でした。20世紀を代表する振付家として全世界で活躍し、日本でもその粋で洒脱な作風と人柄により、多くのファンに愛されました。

 イヴ・サンローラン、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトーをはじめとする、数々の著名な芸術家と交流を結んで創作された作品は、常に話題の先端にありました。またハリウッド映画界でフレッド・アステアへの振付やミュージックホールのための創作を通じ、バレエ芸術をより幅広い大衆にアピールする現代感覚あふれる芸術へと生まれ変わらせました。

 新国立劇場では、2002年にプティ氏の代表作の一つである「こうもり」を新プロダクションとして制作上演いたしました。新国立劇場バレエ団が、さらに表現の幅を広げ、大きく飛躍するきっかけとなる公演でした。「こうもり」はその後も人気演目として再演を重ね、作品中の「グラン・カフェ」のシーンは新春のオペラ・バレエガラ公演でも上演され、その新春公演にふさわしい華やかな内容で、バレエファンのみならずオペラファンをも楽しませました。2006年に新国立劇場バレエ団は、「コッペリア」を上演。氏ならではの大胆な解釈による演出と振付は、パリを舞台にした瀟洒な空気を背景に老コッペリウスの悲哀を描き出し、私たちの心に深い感動を与えました。

 待望の「こうもり」再演が来年の2月に予定されている中で、氏の訃報に接することになろうとは思いもよらぬことでした。

 ここに新国立劇場より謹んで哀悼の意を表し、ローラン・プティ氏が安らかな眠りにつかれますよう 心よりお祈り申し上げます。

2011年7月13日
新国立劇場運営財団


ローラン・プティ氏