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2011年5月24日

公演目前!オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」
アドリアン・エレート&ダニエラ・ピーニ インタビュー

舞台稽古より エレート(グリエルモ)とピーニ(ドラベッラ)
いよいよ29日に初日が迫ってきたオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」。


出演者陣には、欧州で活躍する豪華な若手・中堅歌手が勢ぞろいしています。その中から、ウィーン国立歌劇場で大人気のバリトン、アドリアン・エレート(グリエルモ役)と、ロッシーニ作品を中心にイタリアで大活躍のメッゾソプラノ、ダニエラ・ピーニ(ドラベッラ役)にお話を伺いました。

 
アドリアン・エレート(グリエルモ役)

−先日の舞台稽古を拝見しました。見事な変装ぶりでしたね。
かつらを被って、髭をつけて、ピアスもつけるんですよ! お客様の前で披露するのが楽しみですね。

−今回が日本でのオペラデビューだそうですね。
95年に大阪のコンクールで、03年にはサントリーホールのニューイヤー・コンサートで来日しましたが、オペラは今回がはじめてです。お招きいただき、ありがとうございます。

−モーツァルトからワーグナー、そしてフランス物まで幅広いレパートリーをお持ちです。その中でも、どの作曲家の作品がお好きですか? 
世界中の音楽の中で最も美しいのは、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」と「フィガロの結婚」だと思いますね。ただ、どのオペラでも、その時取り組んでいるものが一番好きになります。特定の作曲家の決まったレパートリーだけではなく、様々な役を歌うチャンスに恵まれてきて、本当に嬉しく思っています。

−今回の「コジ・ファン・トゥッテ」はいかがですか?
グリエルモは4人の若者の中で最も軽快な人物で、そこがずっと好きでした。でも、今回の舞台では全く逆なんです。グリエルモが2幕で大きく変化するのですが、それが非常に気に入っています。自分には何も悪いことは起きないと思っている純粋でナイーヴな青年が、つらい経験をして成長するのです。非常に悲劇的ですが、彼は多くを学びます。今回の演出は、私が今までに経験したどのプロダクションよりも、リアリスティックで人間を描いています。時に「コジ」は表面的なストーリーだけが描かれがちですが、音楽をよく聴き、テキストをよく読むと、モーツァルトとダ・ポンテが人間の内面、本質をいかに引き出して、描いたかよく分かるはずです。それをちゃんと描いた舞台に出会ったのは、実は今回がはじめてです。

−今回の役作りにジムに行かれているとお聞きしましたが...
役作りのためではないのですが、ジムには定期的に行くようにしています。今回の舞台では水着1枚になって、水に飛び込んだりするので、体を鍛えないと!とジョークを言ってたんですよ(笑)。

−12月には「こうもり」アイゼンシュタインで、新国立劇場に再登場です。
この「こうもり」がアイゼンシュタインのロールデビューとなります。ファルケは何度も歌っていますから、作品はよく知っています。新国立劇場からオファーがあって、アイゼンシュタインを歌うのに、ちょうどいい機会、劇場だと思いました。今回のロザリンデは、ウィーンで共演することも多いイルディコ・ライモンディです。比較的若いアイゼンシュタインとロザリンデで、新鮮な「こうもり」になると思いますよ!


 
ダニエラ・ピーニ(ドラベッラ役)

−東日本大震災後の来日にあたって、悩まれましたか?
イタリアでの報道は深刻なもので、日本の皆さんのことが本当に心配でした。私自身も正直怖かったです。7歳の娘と一緒に日本に行く予定でしたから。でも、すこし時間が経って、私は大丈夫、一人で日本に行こうと決意しました。不思議と今は怖くないですね。

−これまでに何度か来日されていますね。
今回が4回目の来日です。2003年にトリエステ・オペラ「タンクレディ」のロッジェーロ役、05年に愛知万博での「蝶々夫人」スズキ、そして08年にサントリーホールで「フィガロの結婚」ケルビーノを歌いました。この「フィガロ」は、本当に楽しい舞台だったわ。

−ロッシーニやモーツァルトを中心に活躍されていますね。
アジリタが得意なので、ロッシーニはたくさん歌っています。ロッシーニは軽快で、歌っていると本当に楽しいです。モーツァルトの音楽はとても深くて、歌手、指揮者、オーケストラ、演出家、すべてにとって非常に難しいですけど、この上なく素晴らしい音楽です。

−「コジ・ファン・トゥッテ」についてお聞かせください。
ドラベッラ役を歌うのは、今回が2回目です。初めて歌ったのは10年以上前ですから、今回が初めてのように思えます。モーツァルトがこのオペラを書いたのは200年以上前ですが、とてもモダンで現代的です。モーツァルトは常に私たちの先を行っていて、私たちは彼に追いつくために頑張っている、そんな風に感じています。

−今回の舞台はいかがですか?
リハーサルはうまく進んでいて、とても楽しんでいます。今回の演出は動きが多くて、全く新しい角度から、「コジ」のストーリーを語っていると思います。クラシックな「コジ」とは全く異なる、新鮮な「コジ」。とても気に入っているわ!

−今後の出演予定は?
「チェネレントラ」タイトルロールをいくつかの劇場で歌います。「セビリアの理髪師」ロジーナ、それから「ウェルテル」シャルロットにも挑戦します。イタリアで「コジ・ファン・トゥッテ」の予定もあります。


 
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