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2011年5月23日

注目の新制作オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』舞台稽古の模様をご紹介!

イタリアで大人気の若手演出家ミキエレットによる大胆な演出が注目のオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』。今週末の初日に向け順調に稽古が進んでいます。今回の舞台装置はイタリアで製作。ディテールまでこだわった非常にスタイリッシュで美しい舞台となっています。オペラの常識を覆すかのような新鮮な『コジ』は、オペラファンのみならず、演劇ファンも必見です! 

先日行われた舞台稽古の模様の一部を、初日に先駆けてご紹介いたします。

今回の演出では、現代のイタリアのキャンプ場に舞台を設定。その理由について、ミキエレットは次のように語っています。(オペラトークより)

−現代のキャンプ場に舞台を設定したのは、舞台上の登場人物に存在感、現実味を与えるためです。若者がキャンプ場にバカンスに来ているという設定ですが、そこでは元の恋人たちがいなくなれば、周りに誘惑がたくさんあるという状況が自然に作られます。また、キャンプ場には自然がたくさんあり、人間の本能が自然の中でさらけ出されるという効果があります。これこそが「コジ・ファン・トゥッテ」のテーマで、ドン・アルフォンソのセリフに「人々は社会的な枠組みを離れると、自らの本能に立ち返る」というものがありますが、キャンプ場の自然の中でそれが露わになるのです。

左からフェルランド、グリエルモ、ドン・アルフォンソ

左から ドン・アルフォンソ、フィオルディリージ、ドラベッラ

原作の設定では老哲学者のドン・アルフォンソが、キャンプ場のオーナーに。

−キャンプ場の建物には「Camping Alfonso」という看板がかかっており、すべてが彼の陣地の中、手の内にあるということを表しています。今回の演出では、ドン・アルフォンソのセリフにこだわりました。彼は、なぜ、若者の夢、幻想を壊すようなことをしたのでしょうか? この作品のテーマは、愛、恋とは何か? ということだと思います。ドン・アルフォンソは、過去につらい恋を体験するなどして、愛や恋に疑問を持っているのではないでしょうか。従って、ドン・アルフォンソに導かれるこの作品のフィナーレでは、2組のカップルは孤独で哀しい結末に行きつくのではないかと考えています。


舞台の設定は、ドン・アルフォンソが経営するキャンプ場

それぞれのカップルの行く末は...

いよいよ、29日に初日を迎えるオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』。ミキエレットは、「この作品をよく知っている方も多いと思いますが、ぜひ新しい発見があることを期待して観に来ていただきたい」と語っています。
『コジ』の新たな魅力を発見できること必至。世界のオペラ界でも注目されている話題の新制作『コジ・ファン・トゥッテ』にぜひお越しください。

『コジ・ファン・トゥッテ』特設サイトはこちら。