新国立劇場について メニュー

2010年4月11日

井上ひさし氏ご逝去の報を受けて

哀悼の辞

〜井上ひさし氏ご逝去の報を受けて〜


 4月9日、井上ひさし氏が神奈川県鎌倉市のご自宅で逝去されました。享年75歳でした。

 新国立劇場は、1997年、演劇部門の開場記念公演として『紙屋町さくらホテル』の執筆を氏に依頼し、故・渡辺浩子氏の演出により上演いたしました。 こけら落とし公演としてこの作品を上演できたことは、わたしたちの大きな礎となりました。

 その後も当劇場のために、東京裁判三部作『夢の裂け目』『夢の泪』『夢の痂』、『箱根強羅ホテル』、『朗読劇 少年口伝隊一九四五』(日本ペンクラブ主催、新国立劇場演劇研修所研修生出演)と、数々の新作を書き下ろしていただきました。
 とりわけ「東京裁判三部作」は、2001年の『夢の裂け目』を皮切りに、2003年『夢の泪』、2006年『夢の痂』とつらなる、かけがえのない財産です。
 そしてこの4月8日からの三部作連続上演が始まった矢先、氏の訃報に接することになったのは、言葉に尽くせぬ大きな悲しみではございますが、誰にもまして芝居を愛し、劇場を愛し、その台詞の一行一行に命を刻み込んだ作者の志にかなうよう、関係者一同いっそうの努力を傾け、ご来場いただいたお客様のご期待に報いたいと思います。

 ここに謹んで哀悼の意を表し、井上ひさし氏が安らかな眠りにつかれますよう、心よりお祈り申し上げます。

2010年4月11日
新国立劇場運営財団


井上ひさし氏