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2010年3月9日

演劇研修所 第3期生がまもなく修了を迎えます

2007年春に入所し、2年間にわたる基礎教育と1年間の舞台実習を経てきた第3期生が、まもなく3年間の課程を修了し、プロへの道を歩みだそうとしています。
研修の成果として、2月22日〜24日に実施した修了公演「友達」を実施しました。
安部公房作の不条理劇「友達」に、演劇研修所所長の栗山民也演出のもと取り組みました。


撮影   落合高仁

 

(上段左から)岸田 茜、熊坂理恵、鈴木良苗、辻村優子、野村真理、吉田紗和子、渡邉樹里
(下段左から)宇高海渡、金 成均、香原俊彦、竹田 桂、長元 洋、米川貴久、若菜大輔

 

修了を迎える3期生からのメッセージです。

岸田 茜
七転び八起きの3年間。時には、目にも口にも砂が入ったが、その砂にさえ美味しい発見があった。そんな中でもこだわったのは、日本人らしい所作事や立ち居振る舞い。まだまだ、傷がたえない私だけど、もっと艶のある凛とした俳優を目指して立ち続けたい。路傍に咲く小さな花だけど、道行く人の、時に慰めとなり、時に目印になるように。


熊坂理恵
演劇と私は今生きている人たちのどんな力になれるのだろう。それさえ分かれば思い切り進んでいけるのに。そう思っていました。けれど今、その見えないわからない怖さを越えて、私から先に伝えたい想いが強く在ります。そんな信じられる自分に出会うことができました。
劇場から帰るひとの目に、昨日よりドキドキわくわくする世界が映りますように。そんな作品をたくましく支えていける俳優になります。


鈴木良苗
「後ちょっと、も少し後ちょっと」、その重なりで3年が経ち、その重なりで少しずつ自信の持てることが多くなったように思いま
す。だから、今は芝居がはっきりと好きになりました。俳優という道を選んだ何よりの贅沢を、「群れる」ではなく各々が「集まって」、劇場全てのこの瞬間を一緒に味わっていきます。


辻村優子
三年間、倒れてもひたすらトライして、気付きました。倒れたままでも、這っていけば進めるじゃん、と。だから今は、泥だらけの役者。地を這って知り得る全てを使って、死ぬまで新しいものと化学変化を続ける女優でいたい。欲ばりなんです、私。


野村真理
合い言葉は、前向きではなく前のめり。だから打たれても、何百回でも起き上がれる腹筋と逞しさは手に入ったと信じている。
体が大きいだけでなく、懐も心も大きい役者になる!音楽も経済も宇宙も語れる、そんな役者になれるよう挑戦を続けていく。


吉田紗和子
3年間、人の心のやわらかい部分に侵入したくて、生きている鼓動を表現したくて、もがき楽しんできました。内部に触れる苦しみを踊り叫び、またそこで垣間見えた人の美しすぎる愛しさをますます伝えたくなった朝昼夜。そして身体と声に想像以上のフォースを発見し、いま小さくても豊かな役者になるところです。観たら、きっと思わず“紗和って”みたくなる役者です。


渡邉樹里
20歳のころ、俳優になる夢半ばにして、もう私には違う道があるの、なんて、逃げるように海外に飛びました。ニューヨークに行ったとき、やっぱり足を運んでしまったブロードウェイ。あの劇場を熱狂させていた女優に、憧れて、憧れて、やっぱりここに来た。待ちに待ったスタートライン。もう、迷わない。


宇高海渡
「何を・どうやって・表現するか」を具体的にする技術を身につけ、現場でも使えるよう練磨する事を目指しました。入所前に比べ、芝居作りの作業とそれを積み重ねる事の楽しさを理解し、現場において、俳優同士の豊かな交流、関係性の変化を生み出せるようになったと思います。更に自己練磨し、俳優自身の色彩豊かな表現の変化で、映画・演劇界という名の“祭”を盛り上げられる俳優になりたいです。


金 成均
自分は子供の頃サッカー少年でした。ジーコやマラドーナそんなスーパースターに憧れていました。彼らには圧倒的な存在感と次に何をしでかすのかと思わせる期待感がありました。その後大学で芝居に出会い、舞台上にジーコやマラドーナを見つけてからは彼らを追いかけてきました。そして今も追いかけています、彼らと対等に渡りあえるように。


香原俊彦
この三年間、刀鍛冶が刀を鍛えるように自分を打ってきました。時にはとんでもない形になるほど叩き、恥をかき、失敗を繰り返して。しかし、失敗という名の「経験」によりだんだん芯がぶれなくなり、その刃も鋭さを増し、自分らしさというものが見えてきました。
時代を切り裂く俳優になるために、これからも僕は自分を打ち続けていく。


竹田 桂
この三年で研きをかけた品々は、がまの油の売り口上、人情噺「甲府ぃ」。(キルビルで活躍!!)剱伎衆かむゐ仕込みの立ち廻りに、ラ・マンチャの男「見果てぬ夢」、ちょいと小粋にジャグリングも。古き良きものに演技の礎を求めてきました。未だ未熟な芸なれど営々辛苦究め尽くして、いずれは「官僚たちの夏」の如き骨太ドラマに打って出る。


長元 洋
舞台上で物凄い集中と圧倒的な存在で生きる役者を見たとき、その深淵さに人間って不思議だなと心から思った。“生きている”ってこういう事だと思った。観る人も演る人も“生きる”ことを実感できる舞台に起ちたい。そういう演劇を創りたい。


米川貴久
当たって砕けまくった3年間は、物事を受け入れる柔軟さと、諦めの悪さを学ばせてくれた。そして自分が変われば、違った世界が見えてくることを知った。支えてくれる皆様に感謝の気持ちを忘れず、外柔内剛をモットーに、内野聖陽氏のように変幻自在な俳優を目指す。


若菜大輔
西田敏行という俳優がいる。作品ごとに全く違う人物になりきり、どの役にも愛嬌を残す。予測のできない演技は観る人を引きつける。3年かけて追求した僕なりの“西田流”の芽。大地いっぱいに力強い根を広げ、そしていつか“若菜流”の花として咲いたとき、必ず西田さんと。