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2009年7月22日

若杉弘新国立劇場オペラ芸術監督のご逝去にあたって

当財団の若杉 弘オペラ芸術監督におかれましては、2009年7月21日多臓器不全のためご逝去されました。日本のオペラ界はもちろん広く音楽界にとりましても、誠に哀惜の念に堪えないところであり、ここに深く哀悼の意を表します。

若杉監督は、新国立劇場の記念すべき開場10周年を迎える2007年にオペラ芸術監督に就任され、ヨーロッパの“音楽劇場”で培った経験をもとに、当劇場を国立の劇場としての地歩を固め、新国立劇場独自の顔を創るべく多大なご尽力をいただき、貴重な財産を遺してくださいました。
歌舞伎に倣って「オペラ十八番」と呼ぶに相応しい普遍的な名作を取り上げるとともに、日本オペラの黎明ともいわれる1940年初演の『黒船―夜明け』をはじめ、先月には坂田藤十郎さん演出の戦後作品『修禅寺物語』も成功裏に上演することができました。また、『軍人たち』や『ムツェンスク郡のマクベス夫人』といった20世紀オペラを紹介し、オペラの伝統を守った舞台から今日的なスタイルでの上演まで、多くの方々から高い評価を得ていたところであります。

芸術監督在任中のご逝去は、大変残念であり、まさに痛恨の極みでありますが、来年夏までの若杉監督第3シーズンの企画については諸準備もほぼ整い、最後を飾る2010年6月の創作委嘱作品『鹿鳴館』の世界初演に至るまで、氏が選定された意欲的なオペラ作品に、劇場関係者がその遺志を継ぎ一丸となって取り組む所存でおります。

若杉監督のご冥福を改めてお祈りするとともに、今後とも関係の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。


2009年7月21日

財団法人新国立劇場運営財団
理事長 遠山 敦子