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2008年5月22日

★現役の俳優のためのリフレッシュコースとは

 「カラダが気持ちいいという姿勢を試して」
 「いつもするのではない動きを試して」
と、通訳が講師のローナ・マーシャルの呼びかけを次々に訳していきます。それに応じて、俳優たちが芸能花伝舎の創造スペースの床の上で、さまざまな姿勢を試しながら動き、おだやかな、和やかな空気が流れていきます。かと思うと、スペースいっぱいをつかって3人の俳優が様々な位置関係をとり、残りの参加者たちがどんな関係だろうと見守ります。対立しているのか、かばおうとしているのか、仲良かったのが急に仲たがいしたのか・・・様々な関係が身体の位置や向きだけで表現されていきます。
 これは2007年3月12日から2週間にわたって開催された「現役の俳優のためのリフレッシュコース」の光景の一部です。参加したのは25歳から63歳、商業演劇、新劇、児童青少年演劇、人形劇に小劇場と、キャリアも出身もさまざまな男女9人ずつの現役俳優たち。
 2005年4月に新国立劇場は芸能花伝舎内に演劇研修所を開いて俳優養成を開始しましたが、その所長である栗山民也氏が、新人俳優の養成だけでなくキャリアのある俳優にもリフレッシュの研修機会をと願っていたことが、芸団協と新国立劇場の共催で実現されるようになりました。
 講師を務めるのは、主に新国立劇場の演劇研修所で講師を務めている講師陣。いわば研修所のカリキュラムのエッセンスを10日間で体験しようというものです。イギリスから招聘する講師のほかにも、イギリスで学んだ経験も豊富なヘッドコーチ、ピラティスの手法をもとにパフォーマーの身体のメンテナンスについてボディーワークスを担当する講師などのワークショップを軸に、演出家をはじめ、舞台芸術に関係する各方面でプロフェッショナルな方々を招いて話し合う「サロン」の時間などを含め、かなり多彩で内容の濃い研修を行っています。
 いつもの方法やいつもの仲間とは違った関係を通じて可能性を探り、また身体のメンテナンスについて再考することで、俳優としての新鮮さを保とうというもの。受講者たちは、文字通り「リフレッシュ」の数日間を経て、新たな気持ちでそれぞれ次の仕事に向かっていくことでしょう。

研修の様子