オペラ「蝶々夫人」
指揮者 レナート・パルンボ ショートインタビュー

オペラ「蝶々夫人」の稽古が順調に進行しております。稽古の合間を縫って、指揮者のレナート・パルンボ氏にショートインタビューをいたしました。

(打ち合わせ中の指揮者:レナート・パルンボ氏)

〜日本人の演出家でこの作品を指揮するのは初めてです!〜

Q.オペラ「蝶々夫人」は過去に何回指揮をなさっていらっしゃいますか?
A:正確には覚えていませんが、本公演で12回か13回目のプロダクションになります。
日本人が演出する「蝶々夫人」はこれが初めてのプロダクションです。栗山民也氏とも、この稽古場で初めてお会いいたしました。

この数日の稽古を経て、栗山氏と一緒にこの演目を創り上げていることを大変嬉しく思っております。
私と栗山氏はこの演目に対して共通の「ヴィジョン」と「考え方」を持っていることが判ったからです。この演目は長崎が作品の背景になっていますが、世界中の多くの方がイタリアン・スタイルのオペラとして捉えられています。そのことに関して間違っているとは言いません。しかし、我々は「この作品は典型的な日本オペラ」だと解釈しています。ですから、私はこの作品を上演する為に日本人の精神を明確に把握しなければいけないと思っています。驚くべきことに、プッチーニは日本人の性格やスタイルを良く理解していました。


〜 私が日本の文化を受け入れて演奏することがとても大切なのです 〜


私自身、オペラ「蝶々夫人」には大変強い思い入れがあります。先程も言いましたが、私はこの作品を指揮するに当たり、日本を理解しなければならないし、知らなければいけないのです。私は日本人の方と良くお話しをする機会があります。その機会を経て、日本には「尊重の文化」が有ると私は感じました。私がいう「尊重」とは「異文化である外国人とその歴史を理解する事」です。欧州人は日本人と比較して、「尊重の文化」が不足していると感じました。欧州人は、自分達の歴史はとても偉大で重要だと考えがちです。ヨーロッパの文化に他の文化は従わなければならないと考えている傾向があります。異文化や違う価値観を受け入れる姿勢が不足しているのでしょう。これは改めるべき考えだと思います。

オペラ「蝶々夫人」は典型的な例だと思うのです。この作品を演奏するに当たって、異文化に触れても理解しようとしない。理解できないものは、笑ってすませてしまう。笑って結論づけてしまうのはあまりにも簡単で短絡すぎます。私にとってこの作品は、我々の歴史において、作品の背景となっている日本の文化を理解しないで演奏した失敗を思い出させてくれる作品です。

これは、私自身の個人的な考え方ではなく、音楽から感じ取ることが出来ます。プッチーニは音楽を通して、全てを教えてくれます。西洋人はオペラ「蝶々夫人」を非常に異国的(エキゾチック)なオペラと考えがちです。しかし、これは単に異国のオペラと片付けられる作品ではないのです。この作品は「人間性」を問う傑作なのです。また、人間が他人に対していかに悪者になれるかということも示していると思います。

Q:この作品には、思い入れがあるのですね。
A:はい。特に今回は楽しみです。普段であればオペラ「蝶々夫人」を公演するあたり、出演者たちで日本文化を理解するための準備や勉強が必要になりますが、この作品の背景である日本で公演するのであれば、多くの事が最初の段階で明確になっている状況から始めることができます。
私は個人的に1980年後半ごろから日本人との交流があります。また何度も来日しています。私は日本人を非常に尊敬しています。私は日本が大好きです。私の友人は、日本人とはどういう人達であるかということをかなり明確に説明してくれました。それは「ローマの美術館で写真ばかりを撮っている日本人」とイメージとは全く違うものでした。今日の日本は非常に近代的ですが、その一方で、日本人の持っている精神から歴史を感じることができます。例えば、ヨーロッパでは考えられない、素晴らしい人間関係の築き方、信頼関係、友情といったものには本当に多くのことを学ばされます。こういった考え方に基づいて、私は「蝶々夫人」を指揮しています。


(指揮者:レナート・パルンボ氏)

Q:近々のご予定についてもお聞かせください。
A:この後は、ロッシーニ・フェスティバルで、“ビアンカとファリエーロ”の新作を予定しております。また、最近は、ベルリン、ウィーン、ボローニャで仕事をしてきました。

Q:オペラとコンサート、どちらを指揮することが多いですか。
A:勿論、シンフォニーも手掛けます。オペラ、シンフォニーのどちらにも興味があります。比較しますと、オペラの出演依頼が断然多いですね。コンサートの予定も入っておりますが、本音を言えば、オペラを指揮している時の方が幸せに感じます。

Q:日本の観衆の皆様にメッセージをお願いします
A:今回、日本で「蝶々夫人」を公演するにあたり、この作品を的確に解釈する事を第一優先としています。私は日本のオペラ・ファンの皆様、特に「蝶々夫人」が好きな皆様が、私の解釈した芸術的な様式、音楽的感覚に満足して下さって、舞台と客席が一体となればとても幸せです。


■■オペラ「蝶々夫人」公演情報

(2005年6月24日〜7月9日)

チケットは現在発売しております。
お申し込み:新国立劇場ボックスオフィス 03−5352−9999

 


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