「ザザ」指揮者:服部譲二へのインタビュー

小劇場オペラ#14「ザザ」が3月3日に公演初日を迎えます。
指揮者の服部譲二さんに現在の心境をインタビューいたしました。

Q.いよいよ初日まで数日を残すばかりとなりました。今のお気持ちをお聞かせ下さい。
A.オペラは、出演者と演出家、そして指揮者である私を含めて、この演目に対する“解釈”を一致させることがとても大切だと思います。この度の演目は、演出家である恵川智美さんが、特に音楽に対して大変深く理解して演出をしていらっしゃいます。時には、本作品の解釈に関して彼女と意見が衝突することがありますが、作品に関して話し合うことは“良い物が一緒に創れる”といった感じがしています。

Q.本公演がオペラ指揮者としての日本デビューとなります。
A.昨年の10月にウィーンで公演したモーツァルト「偽の女庭師」がオペラ指揮者としてのデビューとなりました。本公演はそれに続いての2作品目となります。私は幼少期から色々な事に興味が有りすぎて、ひとつのことに集中するのが苦手な子でした(笑)。ヴァイオリニストとして演奏活動を始めたのですが、協奏曲を演奏している時にオーケストラの皆さんがどのように演奏しているのか、非常に興味を持つようになりました。その頃から「指揮者になりたい」と思うようになってきました。またオペラという“総合芸術”に対しても大変魅力を感じていました。オペラを指揮するためには指揮者としてある程度の経験が必要だと考えております。私にとって、今が“その経験を積んできた頃”ではないかと思っております。
私は、作曲家は人間の感情を音楽にしていると思っております。器楽曲にしても作曲家が経験した感情を曲にしているのです。つまり、器楽曲は演技のない芝居だと思います。ですから、オペラを指揮するには、歌詞を読むことから始めて、作曲家の意図するドラマ・感情描写を理解します。私は「音楽は人間の感情を伝える道具」だと思っています。オペラという形式で自分の音楽、つまり自分の道具を使って素晴らしい芸術を創り上げていく事に大変魅力を感じています。

Q.さて、2006年にオペラ「魔笛」を指揮されます。
A.私は、子供の頃に一番好きなオペラが「魔笛」でした。初めて観たのは13歳ぐらいだったと思います。当時はウィーンに住んでおりました。ジングシュピールである「魔笛」はセリフがあるので、子供でもストーリーが非常に理解しやすいオペラでした。そして勿論、音楽の美しさも魅力でした。高校を卒業するまでに数回は観ました。とにかく、この作品に対して「絶対に退屈しない、完成された音楽」だと思いました。
人間の感情は一瞬にして変化するものです。モーツァルトの作品は音楽が“登場人物の感情が変化する瞬間”に見事に当てはまっています。その「音楽」とは先程申し上げた「音楽は人間の感情を伝える道具」ということなのです。「ひとつのアリアの中で何回も“一瞬でドラマが変わる”という作曲のテクニック」はモーツァルトが生み出した物だと私は思います。「魔笛」はモーツァルトの生涯最後の作品です。彼の技術を全て出し切って作曲したオペラです。それはもう素晴らしい作品だと思います。

Q.では、最後に一言お願いいたします。
A.オペラは多くの場合、登場人物の表情と曲の雰囲気は一致させますが、シーンによっては人物が胸に隠している気持ちを音楽のみで表現することがあります。目で観ている雰囲気と耳で聴く雰囲気が対照的になった時は、“音楽と共にドラマを表現しているオペラの醍醐味”を感じていただけるでしょう。

先程も申し上げましたようにオペラは総合芸術です。歌手は音楽的に正しく演奏することと旨く演技をすることの両面が必要だと思います。そして単に芝居ではなく感情的にその役に成り切ることが必要だと思います。私が指揮する音楽が、歌手の芸術的表現のサポートとなるように務めたいと思います。そして、オペラを見に来てくださったお客様に“音楽を通して人間の感情を伝える”ことが出来れば幸せです。

皆様にオペラ「ザザ」のドラマが深く伝わるように頑張って指揮をしたいと思います。

■「ザザ」公演情報

チケットのお問い合わせ
新国立劇場ボックスオフィス:03−5352−9999



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