2002/2003シーズンラインアップ・
芸術監督からのメッセージ

(芸術監督からのメッセージビデオは新国立劇場館内の情報端末でご覧になれます。)

オペラ芸術監督 舞踊芸術監督 演劇芸術監督

2002/2003シーズン オペラ・ラインアップ
オペラ芸術監督 五十嵐喜芳
オペラ芸術監督五十嵐喜芳シーズンの最初を飾るのは「椿姫」です。大変きれいなタイトルですが、原語の「ラ・トラヴィアータ」は、堕落した女という意味です。流麗な音楽の流れをお楽しみ下さい。ベル・カント時代を代表する作曲家の一人、ドニゼッティの「ルチア」は、夫を殺して狂乱する場面が有名です。次は皆さんよくご存じ、ロッシーニの「セビリアの理髪師」、再演になりますが、ピロッリ指揮、粟國淳の演出でお楽しみいただきます。「イル・トロヴァトーレ」も再演です。「恋はバラ色の翼にのって」など、歌手が替わってどんな風に聴かせるか、ご期待下さい。「ナクソス島のアリアドネ」はR.シュトラウスの作品ですが、36人のオーケストラで室内楽的に奏でます。ファンの方には見逃せない作品です。年が明けて、日本の一柳慧さんによる委嘱作品、「光」を上演します。日野啓三原作、高橋康成台本で、宇宙から帰ってきた飛行士が主人公なのですが、どんな舞台になるか、楽しみです。次はまた再演で「アラベッラ」、対照的な姉妹を描いた、R.シュトラウスらしい重厚な作品です。3月はワーグナーファンお待ちかねの「ジークフリート」、「ラインの黄金」「ワルキューレ」から続いて、「神々の黄昏」の序幕となる作品です。プッチーニの「ラ・ボエーム」はボヘミアン生活を描いて、名曲がたくさん登場します。最後に、ヴェルディの最高傑作「オテロ」、愛妻デズデモーナを殺してしまう悲惨な話で、重く、ドラマティックな作品です。
以上が2002/2003シーズンラインアップですが、小劇場オペラも大変好評をいただいております。ロッシーニの「なりゆき泥棒」は鞄を取り違えてしまう愉快な話。「無人島」はハイドンの作曲で、二人の女性が登場します。「ドン・ジョヴァンニ」はモーツァルトではなく、ガッツァニーガの作曲、全然違うのが興味を引きます。どうぞお楽しみに。

2002/2003シーズン 舞踊ラインアップ
舞踊芸術監督 牧阿佐美
舞踊芸術監督牧阿佐美2002/2003シーズンの舞踊ラインアップをご紹介します。
まず、バレエですが、現代を代表するフランスの振付家ローラン・プティによる創作全幕バレエ「こうもり」に注目いただきたいと思います。これまで新国立劇場が上演してきました古典バレエから一歩踏み出して少し新しい作品を加えるものですが、衣裳装置を新国立劇場のために新製作しての上演、プティ氏ならではのエスプリあふれる小粋な舞台をご堪能いただければと思います。次に『J−バレエ』ですが、これは、前回2000年5月に上演して話題となったもので、3シーズンぶりの企画です。2度目の今回は3人の気鋭の日本人振付家、金森穣さん、島崎徹さん、中島伸欣さんが登場して新国立劇場オリジナルの新作を披露します。また、03年6月「ラ・シルフィード」再演時に、「パキータ」を新制作して同時上演します。ここには古典バレエのヴァリエーションが幾つも含まれていますので、新国立劇場ダンサーの特に女性ソリスト陣の技量を楽しんでいただけます。なお、要望が高い演目として「くるみ割り人形」「ラ・バヤデール」「白鳥の湖」「ラ・シルフィード」の再演を予定しています。多彩なゲストに加えて新国立劇場バレエの成長にも注目いただきたいと思います。
さて、現代舞踊では、まず、02年9月に"パパ・タラフマラ"を主宰している小池博史さんの「未来の空隙は響き」を予定します。12月には勅使川原三郎さんの「ラジ・パケ II」、前回の新国立劇場公演「ラジ・パケ」からどのように発展した作品となるか楽しみです。なお、このシーズン新企画としてコンテンポラリー作品のミックスプログラム『DANCE EXHIBITION 2003』を企画しましたが、今回は4名の日本人振付家、永谷亜紀さん、石川ふくろうさん、岩淵多喜子さん、小野寺修二さん、とアフリカからの招聘グループ"カンパニー・サリア・ニ・セイドゥ"が登場します。いずれも、見逃せない公演になると思います。また、2003年6月には、木佐貫邦子さんが「EXCEPT」、中村しんじさんが「東京ダンスホール」を携えて再登場しますが、油の乗った振付家お二人の中劇場公演は大変興味深いところです。新国立劇場の舞踊公演をお楽しみ下さい。

2002/2003シーズン 演劇ラインアップ
演劇芸術監督  栗山民也
演劇芸術監督栗山民也オープニングの9月公演は、海外招待作品の第2弾となる「ハムレット」です。世界を代表するドイツの演出家ペーター・シュタインがロシア人の俳優・スタッフと共同制作した作品です。次がブロードウェイミュージカル「太平洋序曲」。2年前の再演になりますが、ニューヨークとワシントンD・Cでの上演を経て音楽、演技面でもより一層充実したものになると思います。次が太田省吾作・演出の新作ヤジルシー誘われて」。今の方向を見失った世界の中で<これから、一体どこへ向かっていけばいいのか>、人間、世界の在り方を問う作品になることと思います。今シーズンはシリーズ「現在へ、日本の劇」というタイトルで4本の日本の近代、現代の作品を検証します。1本目が2003年の1月、中劇場公演で、鴻上尚史作・演出の「ピルグリム」です。1989年「第三舞台」で初演された作品ですが、2003年版として、今、書き直しが行われています。共同体、宗教、そして人間同士のコミュニケーションなどちりばめられたテーマは、今の時代にも引き継がれている問題で、現在とどのように関わっていくのか、楽しみです。2本目は2月の公演で昭和15年に書かれた三好十郎の作品浮標ぶいを私が演出します。膨大な言葉、そして闘う人間の生命力の輝きは、現在の私達にきっと多くの可能性を拓いてくれると思います。3本目が4月公演で、別役実の代表作の一つ、「マッチ売りの少女」を、燐光群の坂手洋二の演出で行います。冒頭のアンデルセン童話から、日常のなかに入り込む悪夢のような非日常の世界が展開し、その世界は、そのまま日本人の戦後体験へとつながります。4本目が、5月から6月にかけて、三島由紀夫の「サド侯爵夫人」を鐘下辰男が演出します。6人の女優達による華麗なレトリック、論理的な対話が、鐘下さんの緊密な演出で、どのような劇空間を生むのか楽しみです。また、5月の中劇場では、松田正隆の新作書き下ろしで「涙の谷、銀河の丘」を、私が演出します。松田さんは原爆投下後の長崎を題材に、多くの作品を発表していますが、今回は、ある一家族の朝鮮半島からの引き揚げから現在までの57年を、長崎の戦後史として、描きます。そして最後が、永井愛の脚本・演出で、ロシアのシチェドリンの小説「ゴロヴリョフ家の人々」を劇化します。19世紀のロシア、怠情、無能、飲酒癖と三拍子そろった腐敗地主一家が崩壊してゆくお話ですが、ロシア版人生喜劇として、脚色上演される予定です。
公演は以上9本です。情報化社会の中で、生のコミュニケーションが失われた現在の日本で、今こそ、手作りの舞台芸術が必要なことは確かなことです。劇場は私達人間が集まる広場です。劇場でお会いしましょう。


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