新国立劇場からのお知らせ

東日本大震災三年、これからも忘れずに


東北地方を中心とした未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から、三年の歳月が経ちました。

この震災により、最愛のご親族を失われたご遺族の方々の深い悲しみに哀悼の意を申し上げますとともに、今なお行方の分からない方々のご家族をはじめ、被災された全ての方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 

新国立劇場では、平成23年3月の震災直後より、義援金を募り、日本赤十字社を通じ被災地に寄付を行い、平成24年2月からは、日本芸術文化振興会芸術文化復興支援金「絆」として、被災地の復興支援を目的として行われる芸術文化活動を支援するためのご寄付を、現在も各劇場で継続して募集させていただいております。

この震災時、当劇場公演では、オペラ「マノン・レスコー」、バレエ「ダイナミック・ダンス」及び貸劇場公演が、全て上演中止になり、翌月4月にオペラ「ばらの騎士」の初日が、同じく上演中止となりました。

 

平成23年5月には、新国立劇場舞台美術センターが立地する千葉県旭市の避難所3ヶ所において、合唱団団員とピアノによる復興支援コンサートを、同年7月には、仙台オペラ協会「鳴砂」を地域招聘公演として上演しました。

協会員が皆被災者のため上演も危ぶまれた中、「こういう時だからこそ上演しよう」と、彼らが結束して作り上げた公演は、多くのお客様に感動、心の癒し、そして大いなる勇気を与えてくれました。

 

平成25年1月には、上演中止となりましたバレエ「ダイナミック・ダンス」の復活上演を果たすとともに、公開リハーサルや公演終演後にチャリティー・ミニコンサート等を実施し、多くのお客様から芸術文化復興支援基金「絆」へのご寄付をいただきました。

 

震災3年目となる平成25年には、青森県立美術館と国際交流基金が主催する、被災地出身の出演者、スタッフが集い、中国、韓国の芸術家とともに、芸術を通じて東日本大震災と向き合う3カ国8都市を巡った演劇公演「祝/言」の上演に協力。11月から12月にかけて当劇場小劇場にて上演されたこの公演の告知宣伝協力等をさせていただき、地域の芸術活動の振興の一助となるべく努めてまいりました。

 

今年8月には、慶長遣欧使節400年記念事業として仙台市と仙台市市民文化事業団が取り組むオペラ「遠い帆」の上演にご協力させていただきます。

「遠い帆」は、昨年12月に文化庁「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業における「被災地の道県及び市町村が企画する舞台芸術の鑑賞等を通じた『心の復興』を図る事業」に採択され、仙台公演が行われました。この上演に参加した市民らが、上演に向けた活動を通じてどれだけ大きな活力を得たか、公演を鑑賞した観衆の喝采がそれを示していました。

当劇場では、この作品の東京公演の告知・チケット販売協力等を通じて、支援させていただきます。

 

来年、平成27年3月には、震災時に上演中止となりましたオペラ「マノン・レスコー」を、奇跡的にも主要な役は3年前と同じ歌手が揃い、満を持しての上演を果たす予定です。

 

当劇場は、公共劇場の使命と役割を改めて認識し、引き続き復興に資する活動に積極的に取り組むとともに、観客のみなさまに安心してご鑑賞いただける環境の整備と、より高い水準の現代舞台芸術の創造、振興および普及に取り組んでまいります。

また、今後も、芸術文化復興支援基金「絆」を通じ、寄付を募るとともに、被災地支援の気持ちを込めて、各劇場で様々な復興支援につながる商品を販売させていただきます。

 

平成26年5月

公益財団法人新国立劇場運営財団

理事長 福地 茂雄