新国立劇場からのお知らせ
日・中・韓 国際共同制作作品 演劇「祝/言」 まもなく東京公演スタート!!
国際交流基金と青森県立美術館が主催し、新国立劇場が協力する演劇公演「祝/言」(しゅうげん)が、11月29日(金)から12月1日(日)まで、新国立劇場小劇場で上演されます。
この公演は、日・中・韓の三ヵ国の俳優、舞踊家、音楽家が、青森を皮切りにテジョン、ソウル、チョンジェ(以上韓国)、上海、仙台、東京を経て北京まで日本、中国、韓国の8都市を巡る意欲的な公演です。
新国立劇場は、この公演が国際文化交流の進展に寄与するものであり、かつ地域の特色ある文化振興の取り組みであることから、この公演に協力しています。
<「祝/言」 アウトライン>
この作品は大きな二つの目的のために創作されました。一つは芸術家が芸術を通じて東日本大震災と向き合うこと、もう一つは、日本、中国、韓国の三ヵ国の芸術が集い、共同でその作業を行うことです。
劇作・演出の長谷川孝治は、東日本大震災に遭遇した芸術家の心情をこう表現しています。
「2011年3月11日。私達は心の潰れ、折れるのを聞いた。それは今まで持っていた『言葉』が瓦解していく音でもあった。」
この舞台には、大きな傷を負った東北の芸術家達が困難と向き合う姿があります。
また、主催の国際交流基金文化事業部アジア・大洋州チーム長の横道文司は、日・中・韓 国際共同制作の意義を「近くて遠い国、実際に出会い対話を重ねることにより互いを認め、心を通じさせることで新しい何かが生まれることを信じ―――」と表現しています。
政治体制も文化も異なる芸術家達が、新たな作品作りを通じて、互いに真剣に向き合う姿があります。
10月11日、初日の青森では静かに終幕を迎えた後、場内は温かく深い感動で満たされ、鳴りやまない拍手が全く予定しなかったアンコール演奏を引き出しました。
テジョン、ソウル、チョンジュにおける韓国公演でも観客の大きな共感を呼び、上海公演では大盛況の観客の涙に出演者達も深い感動に包まれたとの事。
東京公演への期待が高まります。
<「祝/言」 ものがたり>
ものがたりは、結婚式が震災によって引き裂かれてしまう、せつない話です。
2011年3月11日、三陸海岸のとある町のホテルのロビー。日本人の花婿とその家族、韓国人の花嫁とその家族、2人の共通の友人の中国人たちが結婚式のために集まってくる。異なる国で異なる人生を歩んできた2人が出会い、共に歩もうとしている。集まった人たちも様々な人生を送ってきた。国も人生も異なる人々が、一組の男女の結婚を、心を一つにして皆が祝おうとしている。音楽と舞踊が最高潮に達したその時、大震災が発生し津波が皆を襲う-――。
2013年の今、生き延びた者が亡くなった者を弔いに、建て直しが始まったホテルにやってくる。そこで交わされる会話、奏でられる音楽、静かな舞踊は哀しみに満ちている。しかし、死者たちはこう言う。
「見上げた空にはいつものように鳥がいた。人々はいつものように暮らしていて、空はずっとどこまでも繋がっていた。」
彼らには、世界に国境線などなく、哀しみの中に希望が見える―――。
<「祝/言」 見どころ・聴きどころ>
長谷川は、俳優、舞踊家、演奏家という芸術的ジャンルについて、いずれも等価に置き主従を作らない「音楽・ダンス・劇」を目指した、と語っています。国籍を問わず知的で多彩な芸術家達の共演は、とても魅力的です。
[ことば]
長谷川孝治は、全国の演劇活動の中でも高い注目を集める弘前劇場の劇作家、演出家でもあります。戯曲を共通語で書き、それを俳優が自身の生活言語に翻訳して演じる手法は、物語に深みと広がりを与え、独特のリアリティと温かみを感じさせます。
この作品でも、東北各地で活躍する俳優陣の人間味に加え、韓国、中国の俳優陣の日本語が、むしろ台詞の意味を浮き立たせ、不思議な詩的イメージが広がります。
(戯曲と長谷川のエッセイが「悲劇喜劇」2013年11月号(早川書房)に掲載されています。)
[音楽]
劇全体の音楽面を支えるのは韓国の伝統音楽グループ、アンサンブル・シナウィ。哀愁を帯びた音楽はどこか懐かしく、また津軽三味線との共演は魂の呼応を感じさせてくれます。
[ダンス]
日・中・韓それぞれの舞踊家、俳優によって踊られるダンスは、劇の要所を締め、また彩りを加え、夢幻を感じさせます。
[写真]
劇の一場面は、ロードムービー風に写真によって綴られます。中国から韓国から仙台から、それぞれの配役が2011年3月11日に集い、被災し、生き延びた者とそうでない者が今、再び集うまで。上演に先立ち、写真集としても発行されました。
[Calling You]
劇中、「Calling You」が俳優によって歌われます。ホリー・コールの歌がヒットし、映画「バグダッド・カフェ」のテーマ曲でもあったこの名曲のトーンが作品全体を底支えしているかのようです。観劇後も、あの切ないメロディを口ずさみたくなるかもしれません。
<公演データ>
[タイトル] 日・中・韓 国際共同制作作品 演劇「祝/言」
[作・演出] 長谷川孝治(青森県立美術館舞台芸術総監督)
韓国語翻訳/石川樹里
[キャスト]
[日本]俳優/相澤一成(宮城県) なかじょうのぶ(宮城県) 佐藤隆太(福島県)
高橋淳(岩手県) 小笠原真理子(青森県) 田邉克彦(新潟県)
舞踊/中村登世之丞(青森県)
津軽三味線/齋藤沙希(青森県)
[韓国]俳優/キム・ソナ(ソウル) イ・ヨンスク(テジョン)
舞踊/チョン・ヨンドゥ(ソウル)
音楽/アンサンブル・シナウィ(ソウル)
[中国]俳優/李丹(上海) 杨子奕(上海) 王小欢(北京)
[日時・開演時間]
11月29日(金)18:30
11月30日(土)13:00/18:30
12月 1日(日)13:00
受付:開演の60分前
開場:開演の30分前
[会場]新国立劇場小劇場
[主催]国際交流基金 青森県立美術館
[協力]公益財団法人新国立劇場運営財団
[チケット]
全席自由・日時指定(受付順に入場整理券を配布。開場時に整理番号順に入場)
前売・予約券 一般4,500円、学生3,500円
当日 一般5,000円、学生4,000円
[チケット販売先]
ローソンチケット(Lコード:33531)
*新国立劇場ボックスオフィスでの取り扱いがございません。何卒ご了承ください。
<チケット予約・問い合わせ先(電話、ファックス、メール受付)>
青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会 演劇「祝/言」事務局
TEL:017-783-5243(演劇「祝/言」事務局、平日9:00~17:00)
FAX:017-783-5244(氏名、連絡先、希望公演日時、券種、枚数を記載)
E-mail:engeki@aomori-museum.jp(氏名、連絡先、希望公演日時、券種、枚数を記載)
<ウェブサイト>
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