プロフィール

【作】木下順二(きのした・じゅんじ)1914-2006
東京・本郷に生まれ、多感な青春期を郷里熊本で過ごした体験が処女作『風浪』のなかに活かされている。東大英文科でシェイクスピアを専攻。戦争中の厳しい状況のなかで民話劇を書きはじめ、大戦後『彦市ばなし』『三年寝太郎』などを経て、現代劇『夕鶴』を発表した。『風浪』(第一回岸田戯曲賞受賞)『山脈(やまなみ)』『蛙昇天』『東の国にて』『沖縄』『オットーと呼ばれる日本人』『冬の時代』『白い夜の宴』『巨匠』などの一連のドラマを発表することで戦後日本演劇を代表する劇作家と言われるに至った。『オットーと呼ばれる日本人』『冬の時代』『白い夜の宴』の3作品は、東京裁判を題材とする『神と人のあいだ』、『平家物語』に拠る大作『子午線の祀り』とともに、現代を真摯に生きようとする人々に衝撃を与えた。
著作に『木下順二集』全16巻(岩波書店)ほか、シェイクスピア作品の翻訳8全巻(講談社)。朝日賞、読売文学賞、毎日芸術賞など受賞。

【演出】鵜山 仁(うやま・ひとし)
慶応義塾大学フランス文学科卒業。舞台芸術学院を経て文学座附属研究所に入所、劇団員に。初演出は1982年、文学座アトリエ公演『プラハ1975』。以降、精力的な演出活動を続けている。83年から1年半、文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在。2007年9月より新国立劇場演劇芸術監督に就任。
89年芸術選奨文部大臣新人賞、99年『おばかさんの夕食会』『夢の島イニシュマーン』の演出で、第2回毎日芸術賞千田是也賞、01年新国立劇場『コペンハーゲン』で紀伊國屋演劇賞個人賞と読売演劇大賞優秀演出家賞、03年『ニュルンベルグ裁判』(ひょうご舞台芸術)などにより読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞、07年『ゆれる車の音』(文学座)などにより読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。そのほかの主な演出作品に、『グリークス』(第25回紀伊國屋演劇賞団体賞)、『缶詰』(第55回文化庁芸術祭最優秀賞)、『ザ・ウィアー(堰)』(以上文学座)、『雪やこんこん』『父と暮せば』(以上こまつ座)など、またオペラでも数々の話題作を手がけている。
新国立劇場では、『リア王』『新・雨月物語』『新・地獄変』『花咲く港』『カエル』『コペンハーゲン』『アルゴス坂の白い家−クリュタイメストラ−』、オペラ『カルメン』を演出している。


吉田栄作(よしだ・えいさく)
1988年「ナイスガイ・コンテスト・イン・ジャパン」でのグランプリ獲得を機に、映画『ガラスの中の少女』でスクリーンデビュー。以降、TVドラマを主な活躍の場として、フジテレビ『君の瞳に恋してる!』を皮切りに、連続もの、スペシャルものに次々と出演。代表作にTBS『クリスマス・イヴ』、フジテレビ『もう誰も愛さない』など。その後、映画『国会へ行こう!』では政治の世界の矛盾を実感しつつ耐えながら新しい生き方を模索していこうとする若者を好演し、新境地を開いた。一方89年には歌手としてレコードデビュー「心の旅」「今を抱きしめて」などのヒット曲を放った。95年に芸能活動を一時休止、アメリカL.A.での修業の旅に。1998年、NHKドラマ『流通戦争』、99年NHK大河ドラマ『元禄繚乱』で活動再開。2003年の『武蔵』(NHK大河ドラマ)『ブラックジャックによろしく』(TBS)の演技が評価されギャラクシー賞奨励賞を受賞。映画05年『亡国のイージス』07年『ミッドナイト・イーグル』でも好演。
満を持して06年に新国立劇場公演『やわらかい服を着て』(作・演出:永井愛)で初舞台を踏み、07年には音楽劇『三文オペラ』(演出:白井晃)でメッキー・メッサーを演じた。

紺野美沙子(こんの・みさこ)
慶應義塾大学文学部卒業。1980年NHK連続テレビ小説「虹を織る」のヒロイン役で人気を博す。テレビ、映画、舞台に活躍する一方、著作活動も行い、処女作「M−misojiのひとりごと」はTBSにてドラマ化され、サイエンスエッセイ「空飛ぶホタテ」では第15回日本文芸大賞女流文学賞受賞。98年国連開発計画(UNDP)親善大使の任命を受け、アジア・アフリカの国々を視察するなど、国際協力の分野でも活動中。2008年5月国際協力に関する著書を出版予定。
最近の舞台出演に『腕におぼえあり』(00年)『おしゃべり伝六捕り物帖』(02年)『細雪』(05年、08年)『弁慶』(06年)。鵜山仁氏とは『溺れる花嫁』(リーディング 06年)で初顔合わせ。本作が新国立劇場初登場となる。

永島敏行(ながしま・としゆき)
1977年、映画『ドカベン』でデビュー。78年『サード』『事件』でブルーリボン賞、報知映画賞、ゴールデンアロー賞映画賞などの新人賞受賞。81年『遠雷』ではキネマ旬報賞、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞などの主演男優賞を独占。以降、映画、テレビ、ラジオ、舞台などで幅広く活躍中。83年『悲劇アトレウス家の崩壊』で初舞台。近年の主な出演作として映画『出口のない海』『眉山』『北辰斜にさすところ』、テレビ『風林火山』『産地初!たべもの一直線』、舞台『びっくり箱−姉妹編−』『飢餓海峡』など。新国立劇場では『欲望という名の電車』(00年 栗山民也演出)、『たとえば野に咲く花のように−アンドロマケ−』(07年 鈴木裕美演出)に出演。
ライフワークとして米作りに参加、近年は農や食をテーマにした講演や、東京・国際フォーラムで開催する「青空市場」の実行委員長として食・農をつなぐ活動を展開中。

グレッグ・デール(Greg Dale)
ニューヨーク出身。プリンストン大学にて文学と演劇を専攻。ニューヨークを中心に俳優、演出家として多数の舞台を手掛ける。91年に初来日以来、舞台演出家、俳優、ナレーターとして活躍している。主な演出作品は、『ハムレット』(俳優座劇場)、『ブルックリン・ボーイ』(アートスフィア)、『短編集』(博品館劇場)、『扉を開けてミスターグリーン』(サザンシアター)、『そして誰もいなくなった』(吉祥寺シアター)、『毒薬と老嬢』(博品館劇場)、『さぁどうする!?』(俳優座劇場)、『ジゼルと粋な子供たち』(博品館劇場)、『唐人お吉』(御園座)など多数。
俳優として舞台『唐人お吉』、『妻たちの鹿鳴館』等に出演。

ジュリー・ドレフュス(Julie Dreyfus)
フランス出身。NHK教育テレビ「フランス語講座」に出演後、日本でモデル、女優として活動をスタートさせる。映画は『遠き落日』、舞台は竹中直人の会『テレビ・デイズ』に出演。98年以降、テレビドラマ『クロウ』、映画『キル・ビルvol1』出演とアメリカで活動を始め、現在はフランス、イギリスにも活動の幅を広げている。
08年には仏映画『Vinyan』、日仏韓合作オムニバス映画『Tokyo! <メルド>』が公開。

松田洋治(まつだ・ようじ)
1974年テレビドラマでデビュー。その後テレビは勿論、映画、舞台、アテレコと各方面で幅広く活躍を続けている。舞台では木村光一、蜷川幸雄、野田秀樹、青井陽治など多くの演出家との仕事があり、本作の演出家鵜山仁とは『川を越え。森をぬけて』(00年)『人間合格』(03年)がある。近年の舞台出演に『夏の夜の夢』(02)、『エリザベスレックス』(04)、『ひかりごけ』『秘密の花園』(06)、『薮原検校』(07)など。また映画では『風の歌が聴きたい』(大林宣彦監督 00)、『隠し剣 鬼の爪』(山田洋次監督 04)『母べえ』(同監督 08)など。

原千晶(はら・ちあき) 
94年クラリオンガールグランプリでデビュー。以後、ドラマや映画、バラエティで幅広く活躍。TVドラマでは『ハルとナツ』(NHK)『純情きらり』(NHK)『相棒』(テレビ朝日系)『母親失格』(CX系)、また情報番組『ラジかるッ』(NTV)にレギュラー出演中。04年にアロマインストラクターの資格を取得し、新たな活動も始める。
また最近は舞台での活躍も著しく『犬目線/握り締めて』(作/スエヒロケイスケ 演出/寺十吾 07)等に出演。

マイケル・ネイシュタット(Michael Naishtut)
1961年ニューヨーク・ブルックリン生まれ。83年にニューヨーク州立大学オネアンタ校(演劇学専攻)を卒業。以後、役者としてニューヨーク州を中心に活躍。Ensemble Studio Theater、Theater for the New City、New York Public Theater等の劇場で舞台を踏む。また、フロリダ州ディズニーワールドにてアトラクション、舞台に出演。当地にて1日5回の週5日公演を1年間行った後、フロリダ州の様々な地域劇場に所属し、シェイクスピア・フェスティバル、映画、テレビ等に出演。DJやMCなども務める。
88年に来日し、91年まで(株)東宝芸能に所属し、企画、脚本、監督をつとめる。90年にはサンリオ・ピューロランドのオープンにあたりスタッフに即興パフォーマンスを指導。その後フリーランスで役者、脚本家、舞台監督、ナレーター、和太鼓演奏家などとして、ラジオ、テレビ、プロモーションビデオ、映画、CMなどの多方面で活躍。
現在は、劇団・東京コメディストアの主宰もつとめ、同劇団の定期公演を演出・監督しながら、舞台出演を行う。また、NHKテレビ『えいごリアン』(毎週火曜10:00am、土曜9:30am放送)にレギュラー出演中。

鈴木瑞穂(すずき・みずほ)
京都大学中退後、1952年、劇団民藝入団。『五稜郭血書』で初舞台を踏み、62年『るつぼ』で芸術祭奨励賞受賞。ほかに『火山灰地』『想い出のチェーホフ』『阿部一族』などに出演、劇団の中心俳優として活躍の後、71年退団。以後72年の劇団銅鑼結成に参加、98年には『ヨーン・ガブリエル・ボルグマン』に主演。現在はフリー。大劇場から小劇場まで幅広く活躍。『NINAGAWAマクベス』『恋愛論』『愛と修羅』『蒼き狼』『守銭奴』『こわれがめ』『橙色の嘘』『ニュルンベルグ裁判』などに出演。06年『夜の来訪者』『女相続人』で第41回紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。
『帝銀事件・死刑囚』『戦争と人間』『金環蝕』『遥かなる山の呼び声』『母べえ』などの映画やテレビの出演も多い。新国立劇場へは『子午線の祀り』(作・木下順二)『ワーニャおじさん』『請願』に続いて4度目。

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