屋上庭園/動員挿話

  • 2007/2008シーズン
  • 2007/2008 Season Play
    2008年2月26日(火)〜3月9日(日)

    「近代日本」は
     こんな「現代劇」になった。



    2008年3月全国公演
  • 小劇場

近代演劇に新風を吹き込んだ岸田國士の名作。
待望の再演!

2005年秋の初演では、日本の近代戯曲を現代演劇として再生させ、演劇の本質的な力を提示した舞台と脚光を浴びた岸田戯曲2本立て公演が、ついに再演されます。その舞台成果は高く評価され、読売演劇大賞優秀作品賞をはじめ、同優秀演出家賞(深津篤史)、同優秀女優賞・紀伊國屋演劇賞個人賞(七瀬なつみ)、伊藤熹朔賞(美術・池田ともゆき)を受賞し、演劇界に岸田戯曲の再発見をもたらしました。
“演劇界の芥川賞”と称され、新人劇作家の登竜門とされる岸田國士戯曲賞。その賞に名を残す岸田國士は大正・昭和期の劇作家。フランス風の繊細なニュアンスと会話の妙味に富む作品を次々に発表し、日本の演劇界に新風を吹き込みました。そんな岸田の作品集から珠玉の小品2作をおおくりします。
偶然再会した旧友の何気ない会話からドラマが生まれる『屋上庭園』を、名実ともに演劇界の最前線で活躍する宮田慶子が演出します。そして日露戦争への出征を思い悩む夫婦の葛藤を描いた『動員挿話』を、岸田國士戯曲賞などを受賞した深津篤史が手がけます。初演時の実力派の俳優陣がそろい、さらに練りあげられた舞台にご期待ください。

ものがたり

〔屋上庭園〕
学生時代の旧友である三輪と並木はそれぞれの妻を伴い、とあるデパートの屋上で思いがけず再会する。久しぶりの再会を喜び、近況を語り合う2人。しかし、経済的に、家庭的にも恵まれた三輪に対し、未来の文豪を夢見ながら、現在は仕事もなく貧困生活を続ける並木。しだいに2人の会話はぎこちないものになっていく。やがて並木は三輪に金を無心する。2組の夫婦の何気ない会話を通して人間の持つ虚栄心やプライド、卑屈さが浮かびあがる。

〔動員挿話〕
明治37年の夏。日露戦争が始まり、陸軍少佐宇治のもとにも出征の命がくだる。宇治は馬丁の友吉を呼び、一緒に戦地へ行くよう勧めるが、友吉は黙ってうつむいたまま返事をしない。というのも女房の数代が断固としてそれに反対しているのだ。宇治や夫人の説得も数代は聞き入れず、宇治は主従の縁を切ると怒って行ってしまう。主従の縁と義理、世間的立場と夫婦の愛の間に悩むが、ついにひとり戦地へ行く決心をする友吉に、数代がとった行動とは…。