2014年2月
2014年2月11日
ゲアラッハ・カラーを司る者たち
「アルトナの幽閉者」は、戦争と個人のあり方、という大きなテーマを描いた作品です。
が、繰り広げられる物語は最初から最後まで、あるお屋敷の中だけで進みます。
ドイツ最大の造船会社を経営する実業家、ゲアラッハ家の大邸宅がその舞台。
厳格な父を筆頭に、長男、長女、次男とその妻、たった4人で暮らすこの家には、
部屋がなんと32もあるんです。掃除が大変!
…などと思うのは置いておいて、とにかく、この広々とした家の中で、
皆がどこか縮こまって生きている、そんな家です。
さて稽古場では、本番に向けての稽古と平行して、必要な小道具を
演出部の皆さんが、着々と用意してくれています。
「演出部」という言葉、聞き慣れないかもしれませんが、舞台監督さんを中心に、
素敵な小道具を用意してくれたり、本番で暗転中にさささっと場面転換をしたり、
衣裳の準備や早替えを手伝ってくれたり、つまり、お芝居の進行に合わせて
実に様々なことをしてくれる、何でも屋さんみたいな、すごいスタッフたちのことです。
稽古がお休みの日も(いや、むしろお休みの日こそ)、モクモクと作業を続け……
ついに出来上がりました、ゲアラッハ家の部屋を飾る家具たち!
元はまったく違う色だったのが、グレー~黒のグラデーションに染まっています。
椅子なんて、布の部分もグレーや黒に貼り替えてあって!す、すごい!!
今回の舞台は、このゲアラッハ・カラー(と我々制作チームは勝手に呼んでいます)が
すべての基調になります。家具のみならず、壁も床も、です。
デザインしてくれたのは舞台美術家の池田ともゆきさん。
台本を読み込み、稽古にも立ち会ってくださった日々の中から、
こんなビジュアルを思いつくなんて!スタッフ(あ)、ただただ感動です。
とはいえ、グレーと黒に占められた世界……重いですね。暗いですね。
でも、暗く重いのが人生の本質でもあり、そういった現実に正面から向き合うこの作品は、
きっと皆さんの心を揺さぶるものになると思います。
そして、そんな作品の世界観を随所で表現している小道具たちにも、
ぜひぜひ注目してみてください!