メッセージ

新国立劇場 オペラ研修所長 永井 和子

「オペラを学ぶことは、総てを学ぶことです。」

オペラ研修所はプロのオペラ歌手を目指す人のために日本初の劇場付属の研修機関として平成10年4月に開設されました。音楽、演技、語学の三本柱を中心に世界的レベルの講師陣による充実したレッスンが連日行われます。

「オペラは総合芸術」と言われますが、まさにオペラを学ぶことは総てを学ぶことと同義であると言えましょう。当オペラ研修所は「舞台人」と成るための修養の場であり、音楽大学や大学院の延長・・・つまり「学校」ではないという考えに立っております。3年間の研修期間を、年次毎に究める内容がステップアップしていくようにカリキュラムが設定され、音楽、演技等の技術習得はもちろんのこと、あらゆる角度から舞台に立つ人としての重要な要素を身につけ研きあげる修練の場と言えます。劇場の中に在る研修所という恵まれた空間で伸びやかに芸術の香りを呼吸し、研修生の感性が育まれることに心を尽くして参りたい所存です。

プロフィール

岡谷市出身。国立音楽大学附属音楽高校卒業。国立音楽大学及び同大学院修了。
文化庁オペラ研修所修了。文部科学省在外派遣員としてジュネーヴに於いて研鑽を積む。
第19回民音コンクール第1位、第1回グローバル「東敦子賞」、第15回ジロー・オペラ賞、第2回村松賞 等受賞。ジュゼッペ・シノーポリに抜擢され「蝶々夫人」のスズキ役でヨーロッパデビューをする。我が国を代表するメゾ・ソプラノの一人として、幅広い活躍を続けているが、殊に「蝶々夫人」スズキ役は持ち役としての評価が高く、2005年コスタリカ公演でも熱狂的な成功をおさめた。又、コンサート歌手としても安定した歌唱と多彩なレパートリーを持つ貴重な存在である。特に、團伊玖磨の「マレー乙女の歌へる」の初演は、深く記憶に刻まれている。東京芸術大学教授、常葉短期大学客員教授、二期会会員、日本演奏連盟会員。


音楽主任講師 河原 忠之

「声種に合うレパートリーを作る。」

世界におけるオペラ事情は常に変化しています。どのオペラハウスにはどんなレパートリーがあり、どんな歌手が主役を務めているのか、こういったアンテナを常に持つことがこれから世界で活躍していきたいと考える歌手達の必須条件である事は言うまでもありません。新国立劇場オペラ研修所ではそんな日本人の歌手の卵達に、日本人の短所を克服し長所を生かしていく技術を身につけるために全力をかけて育成しています。音楽面では特に、自分の声種を正確に見極め、自分にあったレパートリーを作っていく事、そして個人技だけでなくアンサンブル能力を高める事を主眼において指導していきます。少数精鋭の痒い所に手が届くカリキュラムです。

演出主任講師 粟國 淳

「ここは、オペラ歌手が生まれる場所です。」

前世紀のオペラ黄金期を経て更なる進化と発展を続けながら、多様な広がりを見せる現代オペラ界。 21世紀のオペラ界を担う歌手達には、より幅広い表現力と深い精神性が、音楽と演技の両面に要求されます。しかしそこには、オペラ歌手、そして舞台人としての基軸となる様々なテクニック抜きには、辿り着く事ができません。型を破るにはその型を知り、使いこなせなければならないのです。

この研修所では、楽譜の中に閉じ込められている真実を見つける為に、時代の哲学や社会構成を知り、またそのスタイルを読み解き、実践的な表現とテクニックを追求するなどの過程を、音楽と演技両面で探求し続けていきます。ここは、職人的な作業を身につけ、そのマインドを突き詰めた、舞台人としてのオペラ歌手が生まれる場所です。