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「死の都」オペラトークを開催しました

 

かねてより日本国内での舞台上演を熱望されていたコルンゴルトの傑作、オペラ「死の都」が、ついに新国立劇場に登場しますこれに先立ち、公演をより楽しんでいただくためのオペラトークが本日2月23日(日)、中劇場ホワイエにて開催されました。
 
前半では、R.シュトラウスを中心にドイツ・オペラに造詣が深く、今回の「死の都」リブレットの対訳も担当した音楽評論家の広瀬大介氏が、次々と興味深い話を語りました。

まず、初演が1920年12月、ハンブルク(ポラータ指揮)とケルン(クレンペラー指揮)で全く同じ日に初演されたこと。

この時期は、1918年にオーストリアが降伏して第一次大戦が終わり、絶望感にあふれていた頃で、その世相を反映してか、「死の都」はその前年1919年にウィーン初演のR.シュトラウス「影のない女」と、失われてしまった、手に入らないと思われたものが、改めて手に入る、または新しく生まれ変わることができるという再生の作品であるという点において、題材が非常に似通っていること。

コルンゴルトは、マーラー、R.シュトラウスなどが確立した手法、音楽言語をそのままスポンジのように吸い取ってそれを自分の音楽に反映させたので、20歳代始めでの作曲も可能でした。しかしそのコルンゴルトの天才ぶりにあの(R.シュトラウス「エレクトラ」「ナクソス島のアリアドネ」の台本を書いた)ホフマンスタールは心中穏やかではなく、R.シュトラウスでさえもコルンゴルトを警戒するような発言をしていたことが手紙などの資料で読み取れるそうです。

また、「死の都」が、第1幕の半ばに最も聴きどころを持ってきて、その同じフレーズが第3幕の最後にも出てくる点は、R.シュトラウスの「アラベッラ」の音楽と非常に良く似かよっているのではという広瀬氏の仮説も語られました。

 

休憩の後、指揮のヤロスラフ・キズリンクが登場、広瀬氏のインタビューに答え、「死の都」の作品の魅力や今回のプロダクションについて語りました。

キズリンクはまた、2010年のデンマーク・オーフスでの「死の都」公演でケールと共演しており、その「トリスタン」を超える難役に彼が最も適役だと思っていること、また先日東京交響楽団とのオケ練でも満足の行く稽古ができたそうで、本番が楽しみとも語りました。

  

最後に、田島亘祥のピアノ伴奏で、今回のフランク/フリッツ役のカヴァー 萩原潤が第2幕のフリッツ「ピエロの歌」、マリエッタ/マリー役のカヴァー 増田のり子が第1幕「マリエッタの歌」と、「死の都」の一番の聴きどころを披露し、大喝采のうちに終了しました。

 

本オペラトークは下記の配信チャンネルにてお聞き頂くことができます。

配信チャンネル http://www.ustream.tv/channel/dietotestadt

「死の都」公演は3月12日(水)、15日(土)、18日(火)、21日(金)、24日(月)の5回上演です。

15日(土)が残席僅少となっておりますが、ほか4回についてはチケットがございますので、お早めにお買い求めください。

 

◎『死の都』公演情報はこちら(公演日程、チケット料金、座席表など)

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広瀬大介氏のトーク
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沢山の皆様にご来場頂きました
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左より 通訳:井上裕佳子、指揮:J・キズリンク、広瀬大介氏
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ヤロスラフ・キズリンク(指揮)

 

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萩原 潤(フリッツ役カヴァー)
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増田のり子(マリエッタ役カヴァー)
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田島亘祥(ピアノ)