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「リゴレット」マントヴァ公爵役 ウーキュン・キム 最新インタビュー!


今回「リゴレット」でマントヴァ公爵を歌うのは、天性の美声で世界の聴衆を魅了するウーキュン・キム。気さくなキャラクターで稽古場でも大人気のキムさんにお話を伺いました。


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―新国立劇場には、11年「椿姫」アルフレードでデビューされました。所属されているザクセン州立歌劇場のほか、ミラノ・スカラ座、バイエルン州立歌劇場など名だたる劇場でヴェルディのオペラを数多く歌われていますね。

キム:アルフレード、マントヴァ公爵のほかに、「仮面舞踏会」リッカルド、「マクベス」マクダフ、「シモン・ボッカネグラ」ガブリエーレなどをよく歌っています。私のレパートリーのうち90%がイタリア・オペラで、そのうちの90%がヴェルディ作品なんですよ!私は自分から役を選ぶようなことはせずに、オファーされた役を拒むことなく歌ってきているんですが、自然にヴェルディのレパートリーが増えてきました。自分の声に合っているんでしょうね。

―今回演じられるマントヴァ公爵という役柄についてどう思われますか?

キム:マントヴァ公爵は浮気者で、女性を騙したりゲームのように弄んだりします。その中の一人としてジルダに出会います。彼は財力、権力の両方を持っているのですが、彼自身そんな自分には真実の恋が似合わないのではないか、そんなのは自分らしくないと葛藤しているんですね。この役を歌うときは、あえて真心を込めないようにしたり、時には真実味を出したりといった風に工夫して、彼の相反する性格を表現するようにしています。声楽的には音域が高く、テノールにとって難しい役のひとつだと思います。

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―キムさんは現在ヨーロッパで大活躍されていますが、オペラ歌手になろうと思ったきっかけは?

 

キム:両親は音楽家ではないのですが大変な音楽好きで、私も小さいころからピアノとヴァイオリンをやっていました。また教会に行き、聖歌隊の合唱をよく聴いていました。歌を始めたのは高校で合唱部に入ってからです。そこで先生に声がいいと褒められたのがきっかけで、声楽の道に進むことを決意、音楽大学に進学し、その後ドイツに留学、気がついたらヨーロッパでオペラ歌手のキャリアをはじめてもう10年になります。

―キムさんはじめ、多くの韓国人歌手がヨーロッパ、アメリカの一流歌劇場で活躍されていますね。韓国勢の活躍の秘訣はなんだと思われますか?

キム:私は声楽を始めたころから漠然とオペラをやるなら本場ヨーロッパでと思っていました。音大時代の友人も皆ドイツやイタリアを目指していましたね。韓国には独特の感情・スピリットがありまして、伝統芸能であるパンソリなどで表現されているのですが、それがオペラにも活かされているのかもしれません。また、ハングル語は最も科学的な言語のひとつとされ、多くの発音があります。イタリア語、ドイツ語、ロシア語などオペラで歌われる言語の音の多くをカヴァーしているため、ネイティヴのように発音できるという利点があります。あるいは、サムギョプサルという豚肉の焼肉をたくさん食べているからかもしれませんね!

―最後に、「リゴレット」をご覧になるお客様にメッセージをお願いします。

キム:今回の公演は、素晴らしいスタッフ・キャストに恵まれ、良い公演になると確信しています。舞台装置はまだ自分も見ていないのですが、衣裳が大変美しく、ぜひご注目いただきたいです。オペラは演じる側だけでできるものではなく、聴いてもらう方あってこそです。最善を尽くしますので、ぜひ劇場に足をお運びください!


世界トップクラスのテノールでありながら、「朝青龍デス!」とジョークも飛ばすチャーミングなキムさん。彼の甘い声を存分に堪能できる「リゴレット」公演は10月3日初日を迎えます。