高校生のためのオペラ鑑賞教室 甘美な愛と哀しい運命と・・・蝶々夫人 Madama Butterfly Giacomo Puccini

STORY あらすじ

第1幕 明治の長崎。 丘の上の小さな家 第1幕 明治の長崎。 丘の上の小さな家

長崎に来たアメリカの海軍士官ピンカートンは、仲介人のゴローによって、日本の現地妻を迎え、家を借りる算段をとる。女中のスズキらが彼に紹介されていると、領事シャープレスもやって来る。ピンカートンの軽薄な結婚に不安を抱くシャープレス。そこへ花嫁行列がやって来て、没落士族の娘で芸者となった15歳の蝶々さんが嫁いで来る。その可憐な美しさに心騒ぐピンカートン。婚礼の宴の席に伯父の僧侶ボンゾが、怒って乱入して来る。密かにキリスト教に改宗した蝶々さんは絶縁される。嘆く蝶々さんを慰めるピンカートン。2人の甘い二重唱で幕となる。

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第2幕 第1場 蝶々さんの家

ピンカートンがアメリカに戻って3年。夫の帰りを信じて疑わない蝶々さんは、再会の日を夢見て、アリア《ある晴れた日に》を歌う。そこへピンカートンの手紙を手に、シャープレスとゴローがやって来る。喜ぶ蝶々さんに、シャープレスは手紙の内容を告げられない。ゴローは、ヤマドリからの求婚を伝えるが、蝶々さんは相手にしない。シャープレスは手紙を取り出し、ピンカートンが日本に帰って来る事を告げるが、彼がアメリカで「本当の」結婚をした事は教えられない。遠回しにヤマドリの申し出を受ける事を薦めるが、蝶々さんはピンカートンとの子供を見せ、涙ながらにそれを拒絶する。遠くからアメリカ軍艦の砲声が聞こえる。ピンカートンの裏切りを知らない蝶々さんは、スズキと共に彼を迎えるために、家中を花で一杯にする。

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  第2場 蝶々さんの家

翌朝、夜通しピンカートンを待って一睡もしなかった蝶々さんが休んだ間に、スズキの前にシャープレスとピンカートン、そしてピンカートン夫人のケートが現れる。事情を知ったスズキは、蝶々さんの真心を語って聞かせる。後悔の念にさいなまれるピンカートンは逃げ去る。蝶々さんが遅れて現れ、シャープレスとケートを見つけ、すべてを知る。自害する決意を固めた蝶々さんは、子供を抱き寄せ最後のアリア《さよなら坊や》を歌う。父の形見の短刀(そこには「名誉をもって生きられぬ者は名誉のうちに死ね」と記されている)で自らを刺す蝶々さん。ピンカートンが彼女を呼ぶ声が聞こえる。彼女は息絶える。

平成19年度公演プログラムより転載

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character 登場人物

人物相関図 image
photo蝶々夫人 [ソプラノ]
没落した士族の娘。芸者となるが、アメリカ人との結婚を決意する一途な15歳。純情だが、芯は強いという性格から、スピントの声質が求められる。
  photoピンカートン [テノール]
アメリカ合衆国海軍中尉。蝶々さんを日本での現地妻にした。気はいいが、軽はずみな男性として描かれている。テノール・リレコの役どころ。
photoシャープレス [バリトン]
長崎駐在のアメリカ領事。蝶々さんの相談相手にもなってやる分別のある男として描かれる。
  スズキ [メゾ・ソプラノ]
蝶々さんの家の女中。若い蝶々さんの心情を汲み取る忠義な女性。
  ケート [ソプラノ]
アメリカで正式に結婚したピンカートンの妻。

平成19年度公演プログラムより転載