オペラ芸術監督
飯守泰次郎

オペラを愛する皆様の情熱と温かい応援に支えられて、芸術監督として最初のシーズンを、新制作の『パルジファル』で開幕することができました。2シーズン目となる2015/2016シーズンも皆様とともに歩めることを深く感謝し、心から幸せに思っております。

2015/2016シーズンは、新制作のワーグナー「ニーベルングの指環」から『ラインの黄金』で幕を開けます。今回新国立劇場では、ドイツの名演出家、ゲッツ・フリードリヒがヘルシンキで演出したプロダクションを上演します。彼がつくり上げた有名な3つの「指環」の中で、最後に演出した集大成的なプロダクションにあたります。お馴染みのユッカ・ラジライネン、ステファン・グールドをはじめとする世界的なワーグナー歌手たちが一堂に会します。

続いて、新制作の2本目としてヤナーチェクの『イェヌーファ』を上演します。ヤナーチェクは世界の主要歌劇場で必ずとりあげられる作曲家ですが、日本ではあまり上演機会が多くありません。新国立劇場で初めてヤナーチェクをお聴きいただくに最も相応しい作品と考えました。クリストフ・ロイの演出、ベルリン・ドイツ・オペラの協力によるプロダクションで、チェコの新進気鋭の指揮者トマーシュ・ハヌスを迎えます。

そして3本目の新制作はマスネ『ウェルテル』です。この情感溢れるマスネの代表的作品をニコラ・ジョエルの演出、国際的に活躍するマルコ・アルミリアートの指揮でお届けいたします。

再演演目は、まずプッチーニの『トスカ』です。劇的、情熱的なこの作品が見事に表現された、大変豪華なプロダクションです。次に、巨匠ヴェルディの最後のオペラで唯一の喜劇『ファルスタッフ』をとりあげます。モーツァルトの作品からは、大人も子どもも誰もが楽しめる『魔笛』を、全役日本人歌手で上演します。一方、リヒャルト・シュトラウスの作品からは、官能的で衝撃的な『サロメ』。イタリアのヴェリズモ・オペラからは、代表作の一つ『アンドレア・シェニエ』。そして、このシーズン、もう一つのワーグナー作品『ローエングリン』では、白鳥の騎士にクラウス・フロリアン・フォークトが再登場します。シーズンを締めくくるのは團伊玖磨の『夕鶴』。『ローエングリン』とも相通ずる悲しくはかない物語で、長く人々に愛されている日本の代表的なオペラです。

2015/2016シーズンも、オペラパレスで皆様にお会いできることを楽しみにお待ちしております。

プロフィール

1940年生。62年桐朋学園短期大学音楽科(指揮科)卒業。61年に藤原歌劇団公演『修道女アンジェリカ』にてデビュー。66年ミトロプーロス国際指揮者コンクール、69年カラヤン国際指揮者コンクールでともに第4位入賞。72年に芸術選奨新人賞とバルセロナのシーズン最高指揮者賞を受賞。72年から76年まで読売日本交響楽団指揮者、70年からバイロイト音楽祭の音楽助手として数々の歴史的公演に加わり、ブレーメン、マンハイム、ハンブルク、レーゲンスブルクの各歌劇場にも指揮者として籍をおいた。エンスヘデ市立歌劇団第一指揮者を経て、79年から95年までエンスヘデ市立音楽院オーケストラ指揮者。93年より98年まで名古屋フィルハーモニー交響楽団常任指揮者。97年より東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者、2012年4月より同団桂冠名誉指揮者。01年から10年まで関西フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、11年から同団桂冠名誉指揮者。第32回(2000年度)サントリー音楽賞、第54回(2003年度)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。04年11月紫綬褒章、08年第43回大阪市市民表彰、10年11月旭日小綬章を受章。12年度文化功労者および日本芸術院賞。14年より日本芸術院会員。第56回(2014年度)毎日芸術賞(音楽部門)受賞。オペラ指揮者としての新国立劇場出演は、00年『青ひげ公の城』、08年地域招聘公演『ナクソス島のアリアドネ』、12年オペラ研修所公演『フィレンツェの悲劇』『スペインの時』、14年『パルジファル』。15年1月には『さまよえるオランダ人』を指揮する。また2015/2016シーズンでは『ラインの黄金』『ローエングリン』を指揮する予定。