平成23年度 新国立劇場 地域招聘公演
仙台オペラ協会

鳴砂なりすな

※公演時間が変更となりました。
新国立劇場では、政府による夏季の電力需給対策に則した節電をいたします。開演時間の変更は、電力消費のピーク時における節電への取り組みの一環として実施するものです。なにとぞ、ご理解・ご協力をお願いいたします。


全国各地の優れた作品を新国立劇場との共催で上演する「地域招聘公演」。第1回目の平成17年度から7回目となる平成23年度公演には、仙台オペラ協会を招聘いたします。演目は1976年に発足した協会が10周年を記念して委嘱上演した『鳴砂』(作曲:岡﨑光治)の改訂再演です。この作品は、東北地方のある漁村を舞台に繰り広げられる男女の悲恋物語ですが、同時に人間の欲望とエゴにより、美しい自然の象徴でもある「鳴砂の浜」が汚され鳴らなくなってしまったことを、私たちに自然環境保護への警鐘として投げかけています。
仙台オペラ協会は、毎年秋の本公演の他、協会独自の小編成オペラやガラコンサートで構成された「春のインテルメッツオ」、仙台市の芸術祭や県内の地方公演に参加することによって、地域の音楽、芸術振興に寄与し、多くの人々に喜ばれ,愛される活動を続けています。現在は、佐藤淳一を芸術監督に置き、2010年9月19日、20日に本拠地仙台(東京エレクトロンホール宮城)にて第35回公演『鳴砂』を上演。2011年7月の新国立劇場公演では、更なる磨きをかけた作品が上演されることでしょう。仙台フィルハーモニー管弦楽団も新国立劇場初登場となります。

ものがたり

とある小さな漁村。美しい白い砂浜は、踏めば歌う鳴砂の浜。しかし村は貧しく、沖で難破する船の積み荷が流れ着いたものを浜人たちは「産土(うぶすな)の神のくだされもの」と呼び、暮らしの糧としなければならなかった。二百十日の日を前に、村では風を呼ぶ風祭りの中で嵐を占う”虎舞”が行われる。盲目の娘イサゴは、海へ出たままか帰ってこないミナジに思いを募らせ、大好きな鳴砂のかすかなささやきを聞きながら待ち続けていた。イサゴの妹ナギサやミナジの養父母ジサクとトマはイサゴの届かぬ想いに心を痛めつつ見守っている。そこへ、二百十日の大嵐で難破した大きな船とともにミナジが帰ってくる。山伏がお祓いをしていると突然、船が3回青く光り、青い光に包まれた女が現れる。この妖しく神秘的な女は「エテル」と名乗る。
ミナジや男たちはエテルに惹かれ、いぶかしむ女たちは拒否反応を示し、エテルを村から追い出そうとする。
嘆き悲しみ常軌を逸するイサゴに村の女たちの同情があつまり、いっそうエテルと青い灯への反感がつのる。
気が付くと、村は敵対する男と女で真っ二つに割れていた。心を通わせるミナジとエテルに憎しみを抱き、半狂乱となったイサゴは夜叉の如く長刀を振り回し、青い灯を叩き落とす。エテルは悲鳴とともに姿を消し、ミナジはエテルを追って船から転落する。争いの果てに、命知らずの勇者ミナジを失い、難破船の廃材が散らばる浜は荒れ、もう鳴砂は歌わない。