コンサート・オペラ
ペレアスとメリザンド

  • [New Production]
    C.A.Debussy:Concert Opera Pelléas et Mélisande
    C.A.ドビュッシー/全5幕
    【フランス語上演/字幕付】
  • 中劇場




芸術監督・若杉弘の新企画「コンサート・オペラ」が開幕いたします。この企画は、オペラの名曲を全幕コンサート形式で演奏。オーケストラはオーケストラピットで演奏します。出演者は、日本を代表するアーティストをキャスティング。指揮は、若杉弘自身が、タクトを執ります。演目は、印象主義の名曲、ドビュッシー作曲の『ペレアスとメリザンド』です。これまで、オペラの演奏会形式の上演は、サントリーホールのホールオペラやBunkamuraのオペラコンチェルタンテ、各オーケストラの演奏会などで行われてきました。これらの上演と最も異なる点は、オーケストラと歌手、合唱団の位置関係が異なることです。一般に行われている演奏会は、舞台上にオーケストラと歌手、合唱団が共存していました。本企画の「コンサート・オペラ」では、オーケストラピットはオーケストラ、舞台上に歌手が出演します。このことにより、舞台作品として理想的な音響バランスを得ることが出来ます。どうぞご期待下さい。本公演は東京フィルハーモニー交響楽団との共催で公演いたします。

<作品について>
フランス印象主義の大作曲家ドビュッシーが、持ち前の音の色彩感と、ワーグナーのライトモティーフの手法を織り交ぜて完成させた独創的なオペラ。『ペレアス』は、初演当時の聴衆には理解されなかったが、作曲者が、人間の感情のみならず、光や水、霧や風といった自然の息吹も巧みに音に移し変えたことが、若い世代の音楽家たちを魅了した。原作は、ベルギーの文豪メーテルリンクの同名戯曲で、作曲者が部分的に詩句のカットを行って台本化した。登場人物たちの愛憎の日々が、しなやかな音楽で語られた後、静けさに満ちた後奏がドラマを浄化する瞬間は、他の演目では味わえぬ安息の境地である。

ものがたり

【第1幕】第1場 森。王子ゴローがメリザンドを見つけ、城に伴う。第2場 城の中。ゴローが弟ペレアスに宛てた手紙を、兄弟の母ジュヌヴィエーヴが、盲目の老王アルケルに読み聞かせる。第3場 城の前。メリザンドはゴローの妻になった。ジュヌヴィエーヴが孫のイニョルド(ゴローの先妻の子)の様子を見に行くと、残ったメリザンドとペレアスが言葉を交わす。
【第2幕】第1場 庭園の泉。メリザンドは夫から貰った指輪をもてあそび水中に落とす。第2場 居室。ゴローは、妻の手に指輪がないと気づき怒る。第3場 洞窟の前。指輪を失くした場所を偽ったメリザンドは、ペレアスに伴われ、闇の中、海辺の洞窟へと赴く。
【第3幕】第1場 城の塔。髪を梳かすメリザンドにペレアスが塔の下からその美しさを賛える。ゴローが現れ、2人をたしなめる。第2場 城の地下穴。ゴローはペレアスを威嚇する。第3場 出口。兄は弟に自重を求める。第4場城の前。ゴローがイニョルドと居る。疑念にさいなまれるゴローは、息子に、メリザンドの部屋を覗きこめと強要する。
【第4幕】第1場 城の中。ペレアスがメリザンドに、「旅立つ前にもう一度会いたい」と頼む。第2場 嫉妬に燃えるゴローが、妻の髪を掴み傷めつける。第3場 泉のほとり、イニョルドが金のボールで遊ぶ。羊たちを追う羊飼の声。第4場 夜の泉。ペレアスとメリザンドが愛を告白しあう。ゴローが現れ、弟を刀で刺す。
【第5幕】城内。寝台に臥すメリザンド。医師は彼女の死が近いと話す。ゴローは妻に許しを乞いつつも、弟との仲を執拗に問う。老王が彼を制し、生まれた赤子をメリザンドに見せる。彼女はまもなく息を引き取る。王は赤ん坊に向かい、「今度はこの子が生きる番だ」と呟く。