蝶々夫人

2005年6月、新国立劇場初演。本公演で3回目の上演となります。蝶々夫人役に世界で本役をレパートリーとして活躍している外国人カリーネ・ババジャニアンを配役したことが大きな特色です。ピンカートン役も本役を中心にプッチーニを得意としているマッシミリアーノ・ピサピア。シャープレス役は若手のバリトンとして大きな期待がもてるアレス・イェニス。指揮者はヨーロッパを中心に確実なキャリアを築いているカルロ・モンタナーロです。

ものがたり

【第1幕】1900年代の長崎。米国の海軍士官ピンカートン(T)が結婚斡旋人のゴロー(T)と2人で花嫁を待つ。領事シャープレス(Br)が彼の軽率な心を諌める。親戚たちを連れて蝶々さん(S)が登場、身の上話のなかで「昨日一人で教会に行きました」と語る。
結婚式が終わると、僧侶のボンゾが激怒して現れ、彼女の改宗をなじり、人々も怒って立ち去る。ピンカートンは蝶々さんを慰める〈愛の二重唱〉。
【第2幕】帰国した夫から便りがなくても、蝶々さんはお手伝いのスズキ(Ms)の前で、彼を信じる心を歌い上げる〈ある晴れた日に〉。領事が訪ねてきて、ピンカートンからの手紙を読んで聞かせ、状況を知らせようとするが、蝶々さんが連れてきた子供を前に、何も言えずに帰る。ピンカートンの乗せた軍艦の砲声が聞こえる。蝶々さんはスズキと一緒に庭の花を集めて部屋に撒き、夫の帰りを待つ。朝になり、ピンカートンが妻のケイトと領事と共に姿を見せ、子供を引き取るため、スズキに間に入ってほしいと頼み、アリア〈さらば愛の家よ〉で後悔の心を歌う。その成り行きを知らされた蝶々さんは、絶望して、亡父の形見の短剣を取り出す。子供に〈おまえ、小さい神様!〉と切々と語りかけた彼女は、屏風の陰で自害して果てる。