黒船 −夜明け

  • 2007/2008シーズン
  • 2007/2008 Season Opera
    [New Production]
    Yamada Kosaku:THE BLACK SHIPS−YOAKE
    山田耕筰/序景付3幕5場【日本語上演/字幕付】
  • オペラ劇場

日本オペラの夜明けを告げた傑作。唐人お吉の恋物語。

日本オペラ第1号。山田耕筰は、童謡「赤とんぼ」、歌曲「からたちの花」など日本語特有のリズムやイントネーションをいかした曲作りで広く知られていますが、日本人初の交響曲や世界で高く評価された作曲活動、指揮者としての国際的な活躍など、日本の西洋音楽史に大きな足跡を残しています。幕末の動乱に巻き込まれた芸姑「唐人お吉」を扱ったこの作品は、日本での本格的なオペラの上演を積年の悲願とした山田耕筰による、日本オペラの“夜明け”でもあります。

ものがたり

<序景>
安政3年、伊豆下田の夏の夜、 盆踊りでにぎわう夏祭りの夜を民謡風の合唱と踊りで描く。

<第1幕>
奉行と伊佐新次郎は、幕府が開国するとの情報に意見をたたかわせている。そこへ浪人・吉田が現れ攘夷を叫ぶ。黒船入港の声に、芸者や女中も散らばる。芸妓・お吉ひとりが残り、そこにアメリカ領事が現れる。吉田が再び姿を見せ、お吉に領事暗殺を命じ短刀を渡す。

<第2幕>
翌年の早春。吉田は領事暗殺が、いっこうに果たされないでお吉を呼びだす。その時、領事は、伊勢善でお吉を見初める。奉行と伊佐は、領事にお吉を侍らそうとするが、彼女は応じない。奉行は怒って彼女を牢に入れよ、と命じる。

<第3幕>
領事のはからいで牢を出られたと思ったお吉は、お礼に訪れる。領事はお吉に自分に仕えてくれるかたずね、お吉は救われた感謝と、吉田の頼みを果すためにと決心する。
領事とお吉は弁天島に来るが、暴風雨に島は水にかこまれ帰れなくなる。領事は、お吉を救おうと海に飛びこみ、岸の小船を取りに行く。お吉の心は吉田の命令から、離れてゆく。
領事に再び救われたお吉は殺そうとしたことを告白するが、領事はただ笑っているだけである。吉田が刀を抜いて現れるが、京都からの御意が届き、自分の非をさとり、その場で切腹する。領事は合掌し、寺の鐘の音と黒船の砲声に平和への祈りが重なる。