シェイクスピア大学校


『ヘンリー六世』上演記念 シェイクスピア大学校
6回連続講座
芸術監督:鵜山 仁
監修:小田島雄志 河合祥一郎

II シェイクスピアは『ヘンリー六世』で何を書いたか? 松岡和子(翻訳家)
2009年11月5日[木]

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レジメ[松岡和子氏登場](拍手)
鵜山さんに本の宣伝までしていただいて、ありがとうございます。
みなさんは、ここでの『ヘンリー六世』の上演はすでにご覧になったでしょうか。すごく面白くて、ジェットコースターに乗って一気に終点まできたみたいなダイナミックな舞台で、あらためて面白い芝居だなと思いました。鵜山さんのお話にもありましたように、ほぼ半年以上ですかね、もっとかなぁ、そのくらいかけて『ヘンリー六世』を私も一気に訳しました。無我夢中で訳していたので、なかなか距離を置いて自分の翻訳を見るのは難しい状態でしたが、この舞台を観たおかげで、そして今日お話する機会をいただいて、自分の翻訳を他人が訳したかのように見ながら、“シェイクスピアは『ヘンリー六世』で何を書いたか?”という、何でも話せる、ちょっとずるいタイトルでお話をさせていただきたいと思います。
まず【時代】【出来事】【人間】で分けてみました。シェイクスピアの場合は、ローマ史劇であれ、英国史劇であれ、歴史的な事象を取り上げ、その事実、材源(ソース)をふまえて書いてはいますが、最終的には人間が描かれている、というのが結論です。 今日はどんなお話をしようか考えていて、つい昨日気がついたことがあります。そういう私の中でのホットな発見もお話したいと思います。ですから、レジメにしたがって順番に、ここだけはおさえておかなくてはということをまずさーっとお話します。