イスラエル・フェスティバル(エルサレム)
The Israel Festival, Jerusalem

2013「Dressed to Dance」Photo by PR Israel Festival

イスラエルのカイザリアにある古代ローマの円形劇場を会場に1961年、音楽祭としてスタートしたイスラエル・フェスティバルは、1980年代に会場をエルサレムに移し、イスラエル初の複合的国際芸術祭として定着しつつあります。毎年春に開催され、傑出した演劇作品、コンテンポラリーダンス、クラシック音楽、世界中のアーティストによるさまざまなパフォーマンスの上演を行う一方で、イスラエルならではの革新的な作品をストリートパフォーマンスで一般公開しています。

壮大なスケールが特徴

エルサレム旧市街を見渡せる、6500人収容の壮観な野外劇場スルタンズプール・アンフィシアター、エルサレム・シアター(950、800、500、250人収容の4つの劇場)、ジェラルド・ベシャール劇場センター、ベット・マジア・パフォーマンスセンター、エルサレム国際会議場、イスラエル博物館、ハンセン新メディアセンターなど、市内に点在する施設がフェスティバルの会場となり、企画の趣旨に応じて、市内の特定の空間や、時には市外で上演を行なうこともあります。毎年、3万枚以上のチケットが販売されるだけでなく、何千人もの人が一般公開イベントを楽しめるのが、このフェスティバルの特徴です。これまでに、モーリス・ベジャール、ビル・フォーサイス、アルバン・エイリ、キーロフ・バレエ(マリインスキー・バレエ)、ピーター・ブルック、ロバート・ウィルソン、テアートル・ドゥ・コンプリシテ、ザキール・フセイン、ダニエル・バレンボイム、シュターツカペレ・ベルリンほか、国際的に活躍する著名なアーティストや団体が参加しています。

日本からも多数参加

先日、総監督を退任したヨッシ・タル=ガンの働きかけで、イスラエル・フェスティバルは日本と密接な関係を築き、山海塾、勅使川原三郎KARAS、和太鼓グループ「倭-Yamato」、上原ひろみ、東京芸術劇場・制作の『THE BEE』など、日本を代表するアーティストたちをイスラエルの観客に紹介することができました。イスラエルの舞踏家、音楽家、アーティストも、日本で開催されるさまざまなフェスティバルやショーケースに定期的に参加し、日本で評価を得ています。
最近までエルサレム芸術文化財団のディレクターを務めていた新総監督エヤル・シェールは、フェスティバルの舵をとるなかで、芸術監督にイツィク・ジュリを任命。新たに立ち上がったクリエイティブ・マネージメント・チームが、イスラエル・フェスティバルのブランド認知や評価をさらに上げていく努力をしつつ、独自的、独創的、革新的で分野横断的な活動を行っているアーティストを世界から迎え、イスラエルの観客に紹介するため、準備に取り組んでいます。

ますます注目度が高まる

大胆不敵で刷新的、かつ示唆に富んだエンタテインメント作品の上演だけでなく、プロフェッショナルとの交流の場であるクリエイティブ・フォーラムも予定されている2015イスラエル・フェスティバル(5月28日~6月24日まで)は、新旧の観客はもちろんのこと、イスラエルのさまざまな芸術コミュニティの注目を集めています。15年のプログラムには、イタリア人演出家ロメオ・カステルッチによるシェイクスピア作品の翻案『ジュリアス・シーザー・スペアド・パーツ』、ドイツのパフォーマンス集団シー・シー・ポップによる『ザ・ライト・オブ・スプリング』、フランス人作家ウエルベック著の『素粒子』を舞台化したジュリアン・ゴスランの『レ・パーティキュル・ゼレマンテール』、ドイツの室内合奏団アンサンブル・モデルンの『ブラック・オン・ホワイト』など、注目の作品が目白押しです。

文化的価値の高いイスラエル・フェスティバルは、この町の財産であり、市民の生活の質を高め、地域コミュニティ、教育、共存、経済発展、観光を支えています。この芸術祭は、モダンで活動的で多元的なエルサレムに、もはや欠かせなくなっているのです。世界をリードするアーティストを招聘することで、異文化間接触や対話のための、重要なプラットフォームにもなっています。イスラエル・フェスティバルについて、詳しくは公式ウェブサイトをぜひご覧ください。

www.israel-festival.org別ウィンドウで開きます

[協力:イスラエル大使館文化部]

<2015.7.6発行『かがみのかなたはたなかのなかに』公演プログラムより>