

豪華な舞台に着飾った歌手たちが登場して、大げさに歌う。これが、オペラに対するごく一般的な印象です。ポピュラー音楽に馴染んだ耳には、オペラ歌手の歌は風変わりに聴こえるものです。
オペラは17世紀初頭、まだ人類が電気を使えなかった時代に誕生しました。マイクロフォンはおろか、劇場の照明すらない時代に上演されたの
です。オペラが手本としたギリシャ劇の舞台は野外劇場でしたが、当時から俳優の声を観客に届かせるためにあらゆる工夫がされました。すり鉢状の円形劇場の形はそのよい例で、俳優たちは「巨人の声」に憧れたと伝えられています。古来、良く通る、響きのある声は俳優や歌手の必須条件でした。そして、音響機器が発達した現在も、ホールでは生の歌声で上演するのがオペラの特徴です(野外ではPA装置を使うこともあります)。
オペラの歌手たちは、増幅しない生の声だけで数百人の観衆を魅了しなくてはなりません。そして、3時間を超すものもある、長い上演時間を持ちこたえなくてはなりません。身体と精神力の極限を追求し、さらにパフォーマンスに優れた歌手たちに出会うのが、オペラの最初の楽しみです。
ところで、オペラは作曲された時代や場所によって様々な趣を持ちます。現在では、世界中であらゆる時代、あらゆる国に生まれたオペラを上演しますが、その形は当時のままではありません。楽器そのものやオーケストラの編成が変わり、歌唱法が変わっていることは言うまでもなく、さらに演出が加わることで新たな解釈に基づく公演が当然になっています。
音楽と劇とが融合した総合芸術であるオペラ作品は、400年にわたって作り続けられ、素材として受け継がれながら常に新しく変化しています。
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