「ホフマン物語」制作発表が開催されました

9月10日(木)、バレエ公演「ホフマン物語」の制作発表が開催されました。

英国の偉大な振付家ピーター・ダレルの代表作を、大原永子を舞踊芸術監督に迎えて2シーズン目となる2015/2016シーズンバレエのオープニング公演として上演します。

制作発表には、大原永子舞踊芸術監督、コレオロジストのジュリー・ヘイドン氏、主要キャストを踊る総勢10名のダンサーが集合し、作品への意気込みを熱く語りました。

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(左より)奥田花純、長田佳世、本島美和、米沢唯、小野絢子、大原永子、福岡雄大、菅野英男、井澤駿、マイレン・トレウバエフ、貝川鐵夫(撮影:鹿摩隆司)



大原永子 舞踊芸術監督

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2015/2016シーズンは、スコティッシュ・バレエの生みの親であるピーター・ダレルの振付作品で幕を開けます。今回、新国立劇場バレエ団オリジナル版として、川口直次さんに装置、前田文子さんに衣裳、沢田祐二さんに照明デザインを依頼して新制作します。この作品は演劇的バレエで、主役ホフマンが全編を通じて20代から初老までを一人で演じ、幕ごとに3人の女性の主役が登場する珍しい作品です。「ホフマン物語」はホフマンの恋愛と悲哀が描かれますが、暗い悲劇ではなくファンタジーに溢れ、踊りもバラエティに富んでいます。

ピーター(・ダレル)の振付は、ロシア・バレエのような派手なテクニックを見せるのではなく、地味であっても複雑なものです。間のとり方、身体の使い方が独特で、感情を出すために特にアームスを使います。身体にまとわりつくような動きが多く、パ・ド・ドゥではあやとりのように常に繋がりながらも形を変える踊りのスタイルで、ダンサーは相手役との呼吸を常にあわせることが必要となります。

ピーターは58歳という若さで亡くなったのですが、ダンサー、スタッフ、評論家の方までみんなに本当に愛された人でした。しかし、彼の望んだ通りには行かない状況もあったようで、彼自身の人生はホフマンに似ているかもしれません。

私が現役時代バレエに行き詰まっていた頃、縁あって英国に渡り、ピーターと出会いました。彼のバレエ団で彼の人柄と作品と出会ったことにより、このようなバレエを踊りたかったのだと実感し、新たな気持ちでバレエに取り組むことができました。彼との出会いがなければ、私のバレエ人生はこんなに長くは続かなかったと思います。この作品を通して、ダンサーの皆が、私のように『何か』を見つけてくれれば幸いです。

 


ジュリー・ヘイドン  (コレオロジスト)

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ピーターは楽しく温かい人柄で、皆に愛され、また熱心に仕事をする人でした。ピーター・ダレルが初めて自分のバレエ団を設立した時、「スコティッシュ・バレエ」ではなく「スコティッシュ・シアター・バレエ」と名づけました。ここに彼が何をしたかったのかということが表れています。「ホフマン物語」はクラシック・バレエでありますが、とても深みのある作品です。1幕では喜劇、2幕では悲劇、3幕では熱情、そしてエピローグでは年齢を重ねた人間の悲哀といったものが描かれます。この作品では色々な愛の形が出てきます。その中でホフマンは色々な間違いをおこし後悔するのですが、観客の皆様もご自分の人生に重ねあわせて理解できるような物語になっています。ピーターは、意味無く登場人物を舞台に出したり、退場させることはありませんでした。例え6人の農民の役であっても、それぞれに時代背景や役柄を与えその上で演技することをダンサーに求めました。それによって物語に深みを与えたのです。大原監督が率いる新国立劇場バレエ団が、とてもレベルの高いカンパニーであることに感心しております。この作品をダンサー、そして観客の皆様が楽しんでくださることを心より願っています。



福岡雄大 (ホフマン役)

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主役ホフマンを踊る機会を与えてくださった監督に感謝しています。今は振付を覚えている最中でパートごとのリハーサルしか行っておらず、まだ正直なところ自分の中で全幕の流れはできていませんが、幕ごとに異なる女性と恋をして振られてしまう、その場面ごとの表現や心の葛藤など深く掘り下げて描き出せるよう、リハーサルに臨みたいと思います。



菅野英男 (ホフマン役)

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普通の人生であっても年齢を経て見方や考え方が180度変わってしまうことがあると思いますが、それを舞台上でどのように表現できるか本番まで練って、良い舞台を届けられるように努力したいと思います。



井澤駿 (ホフマン役)

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この度、ホフマンという大役を与えていただき、嬉しく思います。

不安な部分も多いのですが、約2ヶ月のリハーサル期間の中で、自分のものにしていきたいと思っています。努力していきますので、どうぞよろしくお願いします。


長田佳世 (オリンピア役)

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「コッペリア」での人形コッペリアは、スワニルダが演じる人形のため彼女の感情を出せますが、今回のオリンピアは全くの人形で人間ではないため、感情がありません。感情がなくても存在が消えないよう、難しいステップの多い踊りではありますが、自分を出せるよう考えて、皆様に良い舞台をお届けできるよう頑張ります。



奥田花純 (オリンピア役)

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オリンピアは人形のため、感情表現はありませんが、ホフマンが魔法のメガネをかけると一目で恋に落ちるほどの魅力的な役柄です。オリンピアは人形役のためカチカチとした人形の動きも多いのですが、ホフマンから見えているオリンピア像を大切にして表現したいと思います。


小野絢子 (アントニア役)

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先日、バレエ団内でのダンサーへの作品説明会の際にジュリー・ヘイドンさんが「この作品は、一人も無意味な役は存在しません。一人ひとり、時代背景を理解して自分がどういう役でどのような性格なのか、そしてこの場面で何をすべきかを考えて表現することを求められる作品です。」とおっしゃっていました。改めて大原監督がバレエ団に今、この作品を持ってきてくださったことに感謝し、大きな期待を持ってリハーサルに臨んでいます。

このようなチャンスをいただいてこそダンサー達は成長していけるのではないかと思い、ワクワクしております。たくさんの方に舞台を観ていただきたいと思います。



米沢唯 (アントニア役、ジュリエッタ役)

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アントニア役とジュリエッタ役の二役を踊らせていただくことは本当にありがたく思っております。ジュリエッタ役はかつらではなく自毛で髪を結うと床山さんから聞き、強いカールを自分の髪でセットするため、今回人生初のパーマをかけることになり、それがとても楽しみです(笑)。勿論、リハーサルは全力で頑張って、良い舞台にしたいと思っています。



本島美和 (ジュリエッタ役)

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13年前に牧阿佐美バレエ団の「ホフマン物語」を観たことがあります。その時は暗いストーリーだと思ったのですが、今、ホフマンはまた同じ人生を繰り返したいのかと考えたところ、きっとまた同じ生き方をしたいのだろうと思いました。

『人形のように美しい』オリンピア、『美人薄命』のアントニア、『魔性の女性』ジュリエッタという、美しさの象徴である3つのタイプの女性に出会い翻弄されますが、その中で喜びも辛さも経験して彼の人生が作られていくのだと思います。ジュリエッタが彼をどう翻弄していくのか考えながら、私なりのジュリエッタを発見して本番を迎えたいと思います。



マイレン・トレウバエフ (リンドルフほか 悪の化身役)

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私を信じこの役を与えてくださった大原監督に心から感謝申し上げます。リンドルフ役はとても難しい役ですが、私の今までの全てのキャリアを活かして役作りに臨みたいと思います。



貝川鐵夫 (リンドルフほか 悪の化身役)

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リンドルフは場面によって3つのキャラクターが存在します。一つひとつ探求し取り組んでいきたいと思っています。


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